下柳剛のシモネタ発見

右打者への「内角高め」スライダーは矢野ちゃんから教えられた新しい発見

[ 2014年10月20日 05:30 ]

 スポニチアネックス読者のみなさま、いかがお過ごしですかな? どうも、下柳です。

 プロ野球のペナントレースもいよいよ佳境にさしかかってきましたな。いや~、それにしてもファイナルステージの阪神はめちゃくちゃ強かったよ。巨人相手に圧巻の4連勝。ファーストステージで生まれた良い流れを、そのまま巨人相手にも持ち込んだ感じやね。この勢いで、日本シリーズも是非頑張ってもらいたいと思う。

 さて、先週は矢野ちゃんのこと書かせてもらったけど、今回も引き続き矢野ちゃんとの思い出をね。前回の当欄でも少し触れたけど、今回は2人の配球に関してもう少し具体的に書いていこうと思う。

 オレら2人の関係というのは改めて話し合いの場を設けるようなもんではなくて、互いに気付いたことをその都度、その都度、言い合うというものやった。

 配球って局面によっていろいろと変わってくるもんでね。中には「最後にこのボールで抑えよう」と逆算して組み立てていく投手もいると思うんやけど、オレの場合は打者の反応を見ながら投げる球を考えていった。

 そういう意味では打者への初球というのは難しい。なぜなら、その打席内での反応という材料がないわけやから。それは矢野ちゃんも同じやったみたいやね。だからこそ、試合前からいろんなヒントを探ってくれていた。

 オレのイメージでは、矢野ちゃんは相手チームの打撃練習を熱心に観察していた記憶がある。矢野ちゃんも話していたけど、ずっと見ていると日によって小さな変化も分かるみたいやね。「お、きょうはいつも以上に逆方向を意識して打っているな」という具合に。それが相手打者の状態を確認できる要素の一つになるんだ、と。

 例えばシュートに関して、オレはちょっと抜いて沈む軌道と、切るように投げて横へ滑るような軌道の2種類があった。オレは基本的に抜いたシュートで内野ゴロを打たせたかったんやけど、ある時、矢野ちゃんからこう言われた。

 「シモ、オレは横に滑るシュートでフライにしたい時もあんねん」

 分かりやすい例を挙げれば、中日の荒木、井端のアライバコンビ。あの2人はポイントを少し体寄りに近づけて、徹底的に右方向を狙ってきた。矢野ちゃんの打者目線で説明してもらうと、打者にそういう意識がある時は沈むシュートの方がタイミングを合わせやすいらしい。

 特にこちらが2ストライクと追い込んでからは、切るシュートのサインを出してくることが多かったよね。フライを打ち上げてくれるだけでなく、上手くいけば空振りも取れるボールになってくれた。矢野ちゃんは2人を抑えるために、随分と考えに考えてくれたと思う。そういう思いは必ずピッチャーにも伝わるからね。オレだけでなく、投手陣が寄せる信頼は抜群に厚かったよ。

 矢野ちゃんから教えられた新しい発見で言えば、右打者への「内角高め」スライダーやないかな。投手心理としてはやっぱり「内角低め」を狙いたいところなんやけど、リーチの長い外国人選手や、中日・荒木のように低めをすくいあげるのが上手いバッターもいる。それを矢野ちゃんに指摘されて。「おお、なるほどな」って。それから、オレもスライダーを「内角高め」へ投げる練習を始めたんや。それを試合で投げたら、結構、有効なわけ。すっかりオレも味をしめちゃった。

 「内角高め」のスライダーで思い出すのは、やっぱりタイロン・ウッズだよな。2人でよく話したのは「とにかく引っ張ってもらおう」ということ。ヒットを打たれるかどうかは二の次で、引っ張ってもらったらバッテリー的には勝ち。ヒット、アウトの結果はあんまり関係なくね。

 なぜかと言えば、ウッズにはとにかく打球を上げさせたくなかった。そのためにはバットのヘッドを返らせるようなスイングをさせないといけない。あの強力なパワーはもちろん、ウッズはセンターから右へのバッティングもできたからね。それがまた、よう飛ぶ。だから、カウント球で引っ張らせて、体を開かせておいて、最後はフォーク!みたいなね。いや、本当に懐かしいよ。

 

続きを表示

バックナンバー

もっと見る