下柳剛のシモネタ発見

甲子園での忘れられない一戦は…雨天中断の末勝った巨人戦

[ 2014年6月9日 05:30 ]

2007年9月17日、4回表途中、雨が激しさを増し、一時中断の判定に怒りをあらわにする阪神先発・下柳剛投手
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 スポニチアネックス読者のみなさん、いかがお過ごしですか? どうも、下柳です。

 関西地方も先日、ついに梅雨入りしましたな。高校時代は雨が降ったら練習が少し楽になるから喜んどったけど、この歳になるとそれもねぇ…。ジメジメして嫌な季節になるけど、この1週間もお互い頑張りましょう。

 ということで、今回は「球場別あるある」の続きやね。前回は苦手だった千葉マリン、神宮について書いたけど、今回は9年間もお世話になった甲子園球場について書かせてもらうわ!

 オレの中では本当に良いイメージしか残ってないんやけど、改めてスポニチさんの元下柳番に調べてもらった。すると…。やっぱり、抜群の成績やったね。

 ■甲子園 87試合44勝17敗 防御率2・90

 うん。阪神時代の本拠地だからね。思い入れも強いし、本拠地ならではのちょっとした工夫もあった。これは、いまやから書ける話やけど、阪神時代、阪神園芸さんにお願いしてオレの先発時は通常よりもマウンドを硬めにしてもらっていた。

 なぜかって? 地面が硬ければ硬いほど、力をもらえるんや。具体的には、バッターへ踏み出す側の右足が着地した時やね。地面から右足に伝わって来た力を、最終的には左手の指先に伝えるイメージ。だから、オレは硬いマウンドの方が好きやったんや。

 その硬いマウンドに対応するために、実はスパイクにも工夫を凝らしとった。普通、スパイクの裏にある歯は多くても9本ぐらいなんかな。でも、オレの場合はほぼ倍の16本をつけてもらっている時期があった。

 それだけ、歯が多いと、マウンドを踏みしめたときに絶対にずれない。少しのズレ、ブレが投手にとっては命取りになるわけやから。そういう細か~いところまで気を配っていたのも、あれだけ長く現役生活を続けられた要因の一つであることは間違いない。

 でも、その特注スパイクにも、一つ弱点があってね。甲子園は屋外球場やから雨が降るやろう。すると、下がぬかるんで、泥が着きやすくなるわな。

 で、オレのスパイクはと言うと、歯がたくさんついとる分、歯と歯の隙間が小さい。そこへ、これでもか、というほど泥がへばりつくんや。放っておけば泥の分だけスパイクが重たくなるから、泥を落とさなアカン。それが、まあ、面倒といえば面倒やったね。

 マウンドのことでもお世話になった阪神園芸さんやけど、オレにとって忘れられない一戦がある。2007年9月17日の巨人戦。1―0でリードした迎えた5回やった。

 2死一塁となったところで、急に雨脚が強くなってきてね。打席にはピッチャーの木佐貫。そしたら、巨人側から試合中断を要請する動きが入った。チームにとっては優勝争いの一戦。オレも頭に来たから、思わず「シッシッ」ってグラブで追い払ったわ。

 で、試合は結局、中断。何とも言えん気持ちやったけど、阪神園芸さんがオレのところへ走ってきてくれた。

 「シモ、絶対に中止にしないからな!」

 その言葉通り、グラウンド状態は最悪に近かったけど、懸命の整備の甲斐あって試合を続行することができた。だから、オレも約10分間の中断中、集中力と気持ちを一切切ることはなかった。オレに勝ち星はつかなかったけど、最後は4―1で勝利。これは、ほんまに、うれしい勝利やった。甲子園以外の球場やったら、まず降雨ノーゲームやったやろうからね。

 甲子園と言えば、最後にもう一つ。夏場の甲子園で行われるナイターは、西日がきついんや。オレの投球フォームは右足を上げた時に顔も上げる。だから、西日が思いっ切り、差し込んでくるわけよ。

 それでリズムを狂わされたのが、2008年7月10日の巨人戦やった。その試合は太陽の残像が残ってね。ホームベース付近が見えないことで、感覚がいつもと違った。その影響もあって、初回に3失点。あらゆる準備を怠らずやってきたオレにとっては、少し悔いの残る一戦やった。

 それから甲子園での調整期間は、あえてサングラスをかけたままマウンドへ上った。少しでも感覚を慣らせるためにね。で、次にやってきたのが7月26日の中日戦やった。オレにとってサングラスをかけて登板するのはプロ野球人生で初。いきなり無死一、三塁のピンチに立たされたけど、森野はスライダーで空振り三振に仕留めた。

 その時やね。マウンド付近が陰で覆われ始めたから、タイムを取って。サングラスを外して、4番和田との勝負に臨んだよ。仕切り直すには、ちょうど良かったよね。和田は三ゴロ、中村紀は空振り三振でピンチを脱出。6回無失点で勝つことができた。

 当時は悩まされた西日やったけど、今となっては印象に残る試合になったよ。  

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