下柳剛のシモネタ発見

プロ初登板は散々4失点…もっともっと自分を磨かなアカン

[ 2014年4月7日 05:30 ]

 スポニチアネックス読者のみなさん、いかがお過ごしでしょうか?こんにちは下柳です。プロ野球が開幕して間もないこの時期は、よく「初登板」という言葉を新聞でも見かけますな。ということで、今回は前回も少し触れたけど、オレのプロ初登板の思い出からスタートしましょう。

 1991年8月9日の近鉄戦。球場は京都にある西京極球場やったね。木村さんがノックアウトされてしまって、点差が開いてね。0―7で迎えた4回にリリーフとして、出番が回ってきた。

 「ええ球投げて、ええとこ見せたろ…」

 それはもう、ブルペンで投球練習しとる時から、力が入りまくっとった。ファームで開幕してから4カ月あまり。やっとこさ、訪れたチャンスやったからね。

 それだけやない。大学を1年で中退して、なかば拾ってもらった新日鉄君津での日々…。3年間、一度も故郷・長崎へ戻らんと、死にものぐるいで努力した結果、ドラフトにかかったわけやから。

 それまで支えてくださった人々への感謝の気持ちを示すには、このマウンドで結果を出すしかない―。いろんな思いを持っての初登板やったから、とてもやないけどマウンドに立った時点で平常心ではなかったよね。

 で、その結果を書くと打者7人に対して1安打4四球の4失点。打ち取ったと思った打球がヒットになったり、散々やった。

 「ええ球投げな、ええ球投げな…」

 マウンドでそう思えば、思うほど、ストライクは入ってくれない。もちろん、めちゃくちゃ緊張もしとったしね。完全に自滅。首脳陣にアピールするどころか、アウトは一つ取っただけ。何もできんまま、斉藤さんのリリーフを仰ぐことになってしまった。

 試合後、京都のホテルへ戻ってからやな。権藤投手コーチから2軍行きを通達されたのは。

 「ファームでしっかりやってこい」

 権藤さんからは、そんな言葉をかけてもらった。自分のピッチングをできんかった悔しさは当然あったけど、率直に「2軍行きはしゃーないな」という思い。プロ野球に対する意識が変わったというか、もっともっと自分を磨かなアカンと強く感じたわな。

 具体的には、やっぱりコントロールやろね。当時は150キロの速球が売りやったから、正直、コントロールに関してそこまで意識することはなかった。でも、それが4四球。走り込みの量をもっともっと増やし、とにかく制球を磨こう、と。このままではプロで通用せん、と思えたしね。

 練習量も、そりゃ、増えたよ。それこそ、8月のクソ熱い時期やったけど。倒れる寸前まで走ったよ。

 「オレは人より練習をたくさんしないと、結果を出せん」

 辛くなったときは、自分にそう言い聞かせて、何本も何本もダッシュを続けた。

 プロで何とかして生き抜くことを考えていたオレにとって、大きな転機となったのがプロ2年目、つまり1992年のシーズンやった。

 シーズンが始まる前、オレは2軍の首脳陣に直訴した。

 「もし、今、1軍に上がれたとしても、登板機会はあんまりない。それやったら、この1年間はずっとファームで良いので、とにかくたくさん投げさせてください」

 こんなこと自分から言ったの、オレぐらいじゃないんかな。目先の結果にとらわれジタバタするぐらいやったら、2軍でじっくりと鍛え直す。そう、思えた。

 そもそも、プロに入った時から、ダメなら2、3年でクビになることは覚悟しとった。どうせクビになるんやったら、自分が納得してとことんやりたい。それが例え1年間を棒に振ることになったとしてもね。

 だから、その年は試合でよう投げたよ。当時の記録によれば、136回2/3イニングも投げてるもんね。

 やっぱり練習でいくらできても、試合でやれて、初めて身につく技術はたくさんある。オレの場合、ブルペンでなんぼコントロールが良くなったとしても、試合、打者に対してそれができんかったら意味はない。

 あとは打者との駆け引き。それまではボールの力に頼っていたのが、打者の細かい仕草とか変化を意識して見るようにしていった。

 プロ2年目で学んだことは、後々にすごく生きたと思う。だって2、3年と思っていたのが、NPBだけでも22年もの間、プレーさせてもらえたんやからね。

 初登板と言えば、先日、京セラドームで阪神・岩崎君の投球を見せてもらった。

 中日打線を5回無失点に抑えられた要因は、真っすぐが両サイドにコントロールされていたことと、打者の手元で微妙に動くクセ球があったからやないかな。

 ただ、スライダー、シンカーともあまり決まっていなかったから、次回以降の課題はその辺りになってくるよね。逆にそれが決まれば、もう少し楽なピッチングができることになる。

 とにかく、自分がいま持っているものを磨いていってほしい。でも、あれだけ投げられるんやから、大したもんだよ。

 海の向こうでは、将大(田中)も初登板初勝利を飾れた。将大も人の子というか、さすがに立ち上がりは失点してたね。でも最後の7回は、良いボールが行っていた。これから1、2カ月も経てば、どんどん良くなってくると思う。本当に楽しみだね。

続きを表示

バックナンバー

もっと見る