下柳剛のシモネタ発見

実は一目置いていた…ボーグルソンの活躍うれしい

[ 2014年3月10日 05:30 ]

ジャアインツで活躍する元阪神のボーグルソン

 スポニチアネックス読者のみなさん、お久しぶりです。下柳です。春のキャンプもあっという間に終了し、プロ野球開幕まで、あと1カ月を切りましたな。当欄では、印象に残った試合などの解説なんかもしていきますので、そちらも楽しみにしておいてください!

 さて、今回は少し趣向を変えて、ライアン・ボーグルソンのことを書かせてもらいますわ。

 通称ボギー。みなさん、ご存じの通り現在はサンフランシスコ・ジャアインツに所属している、バリバリのメジャーリーガー。2011年には監督推薦で、オールスターにも出場した。翌12年はシーズン14勝をマークすると、ポストシーズンでも大活躍してワールドシリーズ優勝の立役者になっとった。

 前後が逆になってしまったけど、オレとボギーは阪神時代のチームメートやった。2007年と翌08年の2年間所属。通算10勝と思うような活躍はできんかったけど、本当に野球に対して真摯なヤツやった。

 あれは07年のシーズンに入ってからやった。春季キャンプ中も投手会やらなんやらでメシ食ったりしとったけど、ボギーがオレのところへやってきた。

 「シモ、お願いがある。オレにピッチングを教えてくれないか?」

 それも、球団の通訳は伴わず、1人でやってきた。オレもこの世界で長い間、やっとったから、外国人選手とはよく喋ったし、野球の話とか普通に通訳なしでやっとったからね。

 ボギーにしてみたら、不思議でしょうがなかったんと違うかな。アイツはブルペンでも150キロぐらいの剛速球をビュンビュン投げとったのに対して、オレはと言えばね。「シモは、なんで、この遅い球で抑えられるんだ?」。直接、言われたことはないけど、おそらく、そんなとこやろう。

 で、オレはオレはで、実はボギーに一目置いていたんや。来日当初から、本当に練習熱心でね。キャンプ中なんかもネットピッチしたりして。ネットピッチする助っ人を見たのは、ボギーが初めてやった。

 だから、ボギーがオレのところへ出向いてきたときには、素直に、オレが感じていることを伝えてやった。

 「お前は、もっと、キャッチャーのことを信頼しろ。矢野は素晴らしいキャッチャーだし、だいいち、出されたサインに対してクビばかり振っていたら、リズムも悪くなる。お前は配球のことまで考えんでいい。出されたサインに対して、ベストボールを投げるのがお前の仕事や」

 そんな風にオレが話すと、真剣な表情で聞いていたのを思い出すよ。日本にいる間はなかなか結果が伴わなかったけどね。でも、ほんまに、よう練習しとったよ。先にも書いたネットピッチだけやなく、ウエートトレーニングにも熱心やった。

 だから、ボギーが向こうで活躍しているのを見たときは「あぁ、野球の神様はおるんやな」と思ったね。

 阪神時代は、グラウンドを離れてからも、よう飲みに行っとった。ステーキハウスとかね。

 そうそう、ボギーはカラオケも好きやった。阪神電車のCMでもお馴染みやった、美人妻のニコールも一緒に。ニコールはよくハグしてくるんやけど、それが照れくさくてな。

 ニコールで思い出すのは、あるとき、ボギーが腹痛で苦しんでたことがあった。

 「おい、どうしたんや?」

 すると、ボギーがこっそりと耳打ちしてきた。

 「ニコールが料理を作ってくれたんだ。でも、それを食べてから、どうもおかしくてね…」

 今となっては笑い話やけど、シーズンまっただ中やから、さすがにボギーも困惑しとった。

 焼き鳥屋も懐かしい思い出やわ。ボギーが2連勝して、メシへ行くことになった。オレはその店のレバーが好きでボギーにも勧めたんやけど、絶対に食わない。食う、食わないで、しばらく押し問答になったんやけど、最後はオレが先輩の貫禄?を見せつけて、ボギーが折れた。

 そしたら、事もあろうに、次の試合から、ボギーが連敗。

 「シモ、オレはもう絶対にレバーは食べない」

 これには、オレも返す言葉がなかったね。

 ボギーとは去年、オレがアメリカにトライアウトを受験しに行ったとき、アリゾナ・フェニックスでメシを食ったよ。ジェフ・ウィリアムスも来たし、藤川球児、小林宏、田中賢介も一緒やった。それも、ステーキハウスやったね。

 で、そこで、オレはボギーに聞いてやった。アメリカで変わった理由は何や?と。

 「日本では結果を求めすぎていたんだ。それがこっちへ戻ってきて、ようやく自分を信じられるようになってね…。カーブとツーシームも使えるようになったし。そういう部分でも打者への怖さというか、和らいだ気がするよ」

 活き活きと話すボギーを見て、オレも自分のことのように嬉しかった。日本での経験を生かして、少しでも長くマウンドに立ち続けてほしい。

 2012年のワールドシリーズで勝利投手になったときには「シモさん、ありがとう」とインタビューで答えてくれたこともあった。そうやって、たまには思い出してくれたらね。

 あっと、最後にもう一つ。ここまで書いたら、ボギーはめちゃくちゃ真面目なキャラになっとるやろ。ここだけの話、ドスケベやったぞ! オレも同じ目で見られたら嫌やから、詳細は省くけど。

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