下柳剛のシモネタ発見

牧歌的だった日本ハム時代のキャンプ 桜庭和志と“競走”も

[ 2014年2月17日 05:30 ]

 スポニチアネックス読者のみなさん、いかがお過ごしでしょうか? どうも、下柳です。春季キャンプも試合形式の実戦が徐々に増え、特に若い選手たちは、ここから開幕1軍へ向けた競争が本格化していきます。

 さて、今回はダイエー、日本ハム時代のキャンプにまつわるお話を書かせてもらいますわ。

 ダイエーへの入団当初は、高知市内の旅館が宿泊先やったね。1年目は確か高卒2年目のピッチャーと相部屋。2軍スタートだったし。新日鉄君津では、主力になってからは遠征、キャンプでも個室。試合に出られるようになるまでは10人ぐらいで雑魚寝しとったから、当時に戻ったような気分やった。

 ただ、途中から1軍へ合流させたもらった。社会人で体、基礎的な技術はできていたからね。メニュー的にも全然しんどいとは思わんかった。1軍へ合流してからは市内のホテルへ泊めてもらえるようになったしね。

 ハムで印象に残っているのは、鴨川での秋季キャンプやね。森繁和さん(現中日ヘッドコーチ)が投手コーチに就任してから、「シモ、顔だけ出せ!」と参加を強制されたことがあった。

 オレは自分でいろいろ考えて練習したいタイプやから、それが嫌で嫌でね。ず~っと「絶対に嫌です」と断り続けとった。でも、森さんも折れてはくれない…。最後はオレが根負けする形で参加が決まったんやけど、その歓迎セレモニーの最中に鼻血が噴き出してしもた。それも両方…。普段、鼻血なんか出たことないから、それぐらい嫌やったんやろうね。

 それほど、テンションの低い始まりやったけど、キャンプインしてからは自由にやらせてもらった。チームのメニューに組み込まれることは、ほとんどない。昼過ぎには宿舎へ戻って、目の前にある砂浜なんかを一人で走っとった。いま思えば、森さんは「みんなが一つになる雰囲気」をつくりたかったんやろうね。

 もう少し、ハムの話をすれば、春のキャンプもそれはもう、牧歌的やった。名護キャンプなんて、当時はほんとに数えるほどのファンしかおらん。初日には、近くの保育園児がやってきて「頑張れ、頑張れ、ファイターズ」と声援を送ってくれるのが恒例。それがまた、微笑ましくて。

 それだけやない。アップの時には練習参加していた、女子プロゴルファーも一緒にやったりね。桜庭和志、飯田章なんかも、アップに加わってることがあった。まあ~、オープンな空気やったわ。阪神では絶対にありえへん。

 ある時なんか、50メートル走を50本走ったこともあったよ。もちろん、桜庭が。オレと競争して、1本勝っただけでも、あいつは大喜び。次の日、思い切り、筋肉痛になっとったけど。

 本来、プロレスというか、格闘技はあまりダッシュなんてしないはず。でも、そういうことにも手を抜かない、彼の姿勢というか、向上心には、オレも大いに刺激をもらったよね。

 これだけで終わるのは何となく寂しいので、桜庭について、もう少し詳しく書いていくことにしましょうか!

 桜庭と出会ったのは、まだ高田道場の前身、UWFインターに所属してる頃やった。まあ、練習を見に行っても、いつも桜庭はマンガを読んどってね。それも昼過ぎやで。

 「おい、サク、真面目にやれ!」

 そんなことばかり言うとった。それが、いつの頃からか、一緒にご飯を食べるようになって。ペーペーやったはずの桜庭が、あれよあれよという間に強くなっていってな。UFCの初めての日本開催で桜庭が優勝してから、格闘技ブームになった。

 ブームと言えば、やっぱりPRIDEやわね。ホイス・グレーシーに勝った試合は、ちょうど、オレは神戸でオリックス戦。もう、時効やから書くけど、当時はリリーフやったから、知り合いに「サク、どうなった?」ってメールしたりして。その後、ヘビー級のトーナメントでヘンゾ・グレーシーに勝ったのも、興奮したな。

 で、そんなこんなの付き合いが続くうちに、桜庭がこう言った。

 「シモさん、飯食って、酒飲むだけじゃなくて、たまには一緒にトレーニングしましょうよ」

 それがきっかけやね。高田道場で格闘技自主トレをさせてもらうようになったのは。

 これが、やってみると、まあ、めちゃくちゃしんどい。でも、野球をやる上で、効果は抜群やったよ。

 キックをするから股関節周りは強くなるし、心肺機能も鍛えられる。メニューは例えば、5分×1Rで1分休憩を挟んで、また5分×1Rみたいな。寝技は寝技で体幹が強くなるし、体の使い方もうまくなる。やってるうちに、どんどん、のめり込んでいったよね。

 桜庭が独立して「Laughter7」をオープンしてからも、そっちで自主トレをやっとった。メーンはウエートトレやったけど。時期的にはシーズンが終わって、奄美大島へ行く前とかにな。泣く子も黙る、東京のど真ん中! ちなみに、オープン時にはサンドバッグを寄贈させていただきました。

 桜庭は桜庭でオレに気を使ってくれてね。オレ専用のグローブ、パンツ、シューズが用意されてあって、洗濯は若い衆がやってくれとった。

 実は、ハードなトレーニングだけやなく、桜庭とスパーリングをすることもあったんや。ある時、乱闘の秘訣を聞いてみた。そしたら…。

 「危ないですから、逃げてください! ケガしたら、元も子もないでしょう!」

 って、おい! こんなんで、コラム終わられへんやないか…。

 「前蹴りして、急所!」

 残念ながら? 桜庭から授かった必勝法は使わずじまいやったよ。では、また来週!

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