日めくりプロ野球 7月

【7月18日】2003年(平15) 劇的勝利は2年ぶり 小田嶋正邦 最速サヨナラ弾!

[ 2010年7月1日 06:00 ]

 【横浜9―5巨人】バットの芯にさえ当たれば、打球ははるかかなたに飛んでいく。巨人の主砲・ペタジーニ一塁手の飛距離にも劣らないところから付けられたニックネーム「オダジーニ」こと、横浜の2年目、小田嶋正邦捕手が大仕事をやってのけた。
 オールスター明けの横浜スタジアムで、最下位に沈むチームのうっぷんを晴らすかのようなサヨナラ満塁本塁打を左中間スタンドに放り込んだ。「強いスイングをすることだけを考えていた。興奮して自分で打ったかどうかも分からない感じです」。

 正直な気持ちをそのまま口にした初のヒーローインタビュー。大洋時代からサヨナラの満塁弾は1954年(昭29)の青田昇外野手以来6本目。しかし、代打で放ったのはこの小田嶋が初めて。さらに言えば、小田嶋は通算2本目の本塁打だったが、この本数で代打サヨナラ満塁を放ったのは、82年のヤクルト・岩下正明外野手の通算4本目を抜き“最速”だった。
 延長11回、2死一塁から力んだ巨人の5番手・鴨志田貴司投手が1番金城龍彦中堅手、2番石井琢朗遊撃手の連続四球でフルベースにすると、加藤武治投手の打順で山下大輔監督はピンチヒッター小田嶋に託した。正確に言えば、この時横浜ベンチに残っている捕手・野手はもう小田嶋しかいなかった。
 「内角が来たらぶつかるつもり、外角が来たら思い切り振る」。その1点だけを心に打席に入った。迷いのない気持ちが初球からフルスイングを呼んだ。打った瞬間にそれと分かる一撃に、鴨志田はマウンド上で両手をひざについてガックリ。プロ野球歴代10位となる通算466号本塁打を放った清原和博一塁手は腕組みをしたまま険しい表情。悲鳴が上がったジャイアンツファンが陣取る外野スタンドに突き刺さった伏兵のサヨナラ弾を見送るしかなかった。
 「待ち望んでいた勝ち方。サヨナラはいつ以来?僕が監督になって初めてだから忘れないでしょう。若い選手が力を発揮してくれたのがとてもうれしい」。山下大輔監督が膨大な数の借金35を一瞬忘れて、劇的なアーチに酔いしれた。横浜のサヨナラ勝ちは01年9月26日の阪神26回戦以来。実に234試合ぶりにベイスターズファンの胸の内をスーッとさせた金曜日の夜だった。
 谷繁元信捕手の後継者として期待されて、東海大から02年にドラフト3巡目で入団した小田嶋。毎年注目株としてキャンプ、オープン戦は過ごしたが、結局横浜で印象に残ったことといえば、このサヨナラ弾だけだった。
 06年オフに巨人・仁志敏久内野手とのトレードで移籍。大学の大先輩、原辰徳監督も目をかけている選手の一人だが、1軍定着とはいかない。万年“秘密兵器”のレッテルは来季10年目を迎える前に払拭したいところだ。

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