日めくりプロ野球 7月

【7月8日】1987年(昭62) 20年ぶりの10代10勝 桑田真澄、北の大地でワンマンショー

[ 2010年7月1日 06:00 ]

 【巨人4―0広島】ワンマンショーとはまさにこのことだ。札幌・円山球場での巨人―広島11回戦で、巨人の桑田真澄投手が156球を投げながらも、3安打完封勝利を挙げた。シーズン10勝目、プロ入り2年目にして初のシャットアウトだった。
 「ゼロが9つも並ぶと気持ちいいものですね。10勝目?周りの人に助けられた結果だと思います」。スコアボードを振り返りながら、弱冠19歳の右腕は口元を緩めた。

 10代での2ケタ勝利到達はなんと20年ぶり。桑田が生まれる前年の1967年(昭42)、巨人・堀内恒夫、阪神・江夏豊、東映(現日本ハム)森安敏明の3投手が記録して以来の快挙だった。「スピード、コントロール、マウンドさばき、今一番バランスのいい投手は?と聞かれたら、僕は桑田と即座に答える。とても2年目の投手とは思えない」。“記録の先輩”江夏豊氏は、19歳にして完成された投手桑田のレベルの高さを評価した。
 「周りの人に助けられた」と桑田は話したが、この試合に限って言えばそれは当てはまらなかった。
 投げる方はもとより、打撃でも大暴れした。4回2死一、二塁、フルカウントの場面で桑田は北別府学投手のスライダーを強振。打球はセンターへ舞い上がると、長島清幸中堅手の頭上を越えた。
 先制の3点本塁打はプロ初の一発。PL学園高時代、甲子園で打率3割5分6厘、6本塁打を記録したとはいえ、広島のエースの決め球スライダーを仕留めた打撃はさすが。「山倉(和博捕手)さんがヒットで出塁した時、打ってやろうと思いました」と桑田。北別府の失投はこの1球のみ。「あれがきょうのすべて」と悔しさを短い言葉で答えた。12年目のベテランはそれだけ言うと後は何を聞かれても口を開かなかった。
 8回にも5番手の山本和男投手から右翼線二塁打を放ち、3安打猛打賞。加えてダメ押しの1点も入った。全4打点は桑田のバットからたたき出され、おまけに完封勝利。「きょうはもう何も言うことはないでしょう。投げて打って一人で全部やっちゃって。監督賞?当然ですよ」。王貞治監督は2位広島とのゲーム差を4に広げた、若きエースの独壇場を手放しで喜んだ。
 1年前のちょうどこの日、桑田は同じ円山球場でヤクルト相手に敗戦処理で投げていた。「1年前のことはよく覚えています」と背番号18は振り返ったが、ルーキーとはいえ、甲子園で2度優勝した投手としては、あまりうれしくない登板だった。
 今度こそ、先発、それも完封できる投手になると心に決めて過ごしたオフ。体重は5キロ増え、胸囲も7センチ、腕回りも4センチ、太ももも5センチそれぞれ大きくなった。体が出来上がったことで、パワーを増し、キャンプで習得したスライダーとスプリットフィンガード・ファストボールが生きた。
 桑田は2週間後の7月23日も新潟で中日相手に完封勝ち。夏の地方でのデーゲームという、ナイターより厳しい条件での2完封はさすが甲子園20勝投手。結局、シーズン15勝(6敗)をマーク。防御率2・17でタイトルを獲り、沢村賞、ベストナインなどに選ばれた。若きエースの誕生でこの年、巨人は4年ぶりにセ・リーグ優勝。王監督としてただ1度の巨人優勝に貢献した。
 

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