日めくりプロ野球 7月

【7月2日】1989年(平元) 信じられない…川相昌弘2打席連続2日で3発!締めはお家芸

[ 2010年7月1日 06:00 ]

 【巨人5―4ヤクルト】「見かけによらずパンチ力があるんだ。ストレートにも滅法強いし。みんなそうは思ってないみたいだけど」。巨人・松原誠打撃コーチが力説していた1メートル77、体重67キロのプロ野球選手にしては小柄な男が、雨の神宮で先制パンチをヤクルトに食らわせた。
 2番川相昌弘遊撃手はヤクルト矢野和哉投手のストレートを完璧にとらえ、左翼スタンドへ3号ソロ本塁打。前日同カード11回戦で2号弾を放っており、2試合連続のアーチ。過去6年間で2本塁打の川相が、シーズン半ばでそれを上回る本数を早くもたたき出した。

 「高めの真っ直ぐ。塁に出ることしか考えていなかったので、甘いのが来たら思い切りいこうと…。ホームラン?入るなんて思ってませんよ。けっこう飛んだとは思ったけど」。バットを短く持ってミートに徹したバッティング。その延長がスタンドインしたと言わんばかりの一撃だった。
 続く3回、同点にされた直後に打席が回ってきた川相は再度矢野から、今度はライナーでスタンドに飛び込む2打席連続の4号ソロを放った。これには巨人ナインもビックリ。生還した川相を迎えた三塁側ベンチは大はしゃぎというより、キツネにつままれたようで、次打者のウオーレン・クロマティ中堅手はかぶっていたヘルメットをとり最敬礼。4番原辰徳三塁手は笑いながら何度も首をひねりながら、川相と手を合わせた。
 岡山南高ではエースで4番を打っていたが、高校でもプロでも初めて2打席連続本塁打を記録した。「インコースの真っ直ぐ。難しいコースだと思うんですけど、よく伸びてくれた」と、自身もかなり驚いた様子だった。守備と走塁、それにファーム時代から磨き上げたバントの巧さでつかんだ1軍のレギュラー。いつもとは違う働きだったが、松原コーチが指摘したように潜在能力は高く、それが形となって現れた。
 しかし、この2本は前段の部分でしかなかった。川相の2発をはじめ、計4発で4点を奪ったが、ヤクルトも取り返して同点のまま9回。1死二、三塁の絶好のチャンスに川相に5度目の打席が回ってきた。
 カウント1―1。川相は三塁コーチャーの近藤昭仁コーチのブロックサインに目をやった。「やるにはいいカウントだ」。川相もそう思ったが、何事もなかったかのように打席に入り直し、ヤクルト3番手のロン・デービス投手の3球目を待った。
 タイミングはバッチリ、立てていたバットを横にした川相のスクイズバントは白球が一塁側に勢いを殺して見事に転がった。三塁走者の中尾孝義捕手は悠々生還。まさに川相のお家芸で巨人は決勝点を挙げ、ヤクルト戦3タテ。首位をガッチリキープした。
 2本塁打にスクイズと大技小技織り交ぜての川相のワンマンショー。以後、完全に巨人の2番打者に定着し、この年9月に骨折して残り試合に出場できなかったものの、ゴールデングラブ賞を獲得。2打席連続本塁打と決勝スクイズは、プロ7年目の背番号0の名前を全国の野球ファンに強烈に印象付けた。

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