日めくりプロ野球 7月

【7月23日】2000年(平12) イチロー、100万円もらっても「シャレにならん」

[ 2009年7月1日 06:00 ]

3本目の安打を放った6回、二盗を試みたがベース手前で完全にアウト。イチローは無念の表情を浮かべた
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 【全セ12-4全パ】一度ロッカールームに消えかけた、オリックス・イチロー外野手が足を止めて振り返った。「ここまでくると笑っていられない。シャレにならんでしょ。悔しいですよ」。
 オールスター第2戦。地元神戸でイチローは初めて球宴を迎えた。期待に違わぬ活躍で4打数4安打。見事、優秀選手賞で100万円を獲得した。それでもイチローの怒りは収まらなかった。

 大敗した全パはこれで97年の第2戦(神宮)で3-6で敗れて以来、1引き分けをはさんで7連敗。オールスターはお祭り、とはいうものの、こう立て続けに負けてはパ・リーグの代表として情けない。本拠地グリーンスタジアム神戸で黒星街道をストップしたい。気合いを入れての試合だったが、イチローを待っていたのは屈辱の打球ばかりだった。
 8回だった。「ポンポンと打球が飛んできましたからね。もう数えられないくらいに」とイチロー。全セはこの回、ロッテ・小林雅英投手を攻めて9安打7点を挙げたが、センターを中心に打球が飛び、その都度右翼のイチローもカバーなり、打球処理なりに動かなければならなかった。最大の屈辱は、代打で登場した巨人・松井秀喜外野手の4年連続球宴本塁打がイチローのはるか頭上を越えていったことだった。何に怒りをぶつけていいのか、いら立つイチローの顔がテレビを通じて全国に流れた。同じくいら立っていたのが、球場で観戦していたオリックス・宮内義彦オーナー。8回に大量失点すると「ゲームじゃない。こんな試合、ひどいにもほどがある」と席を立った。
 過去10人が1試合4安打を達成していたが、99年第1戦(西武ドーム)に続いて2度目というのはイチローが初。球宴での10試合連続も新記録だった。まさに孤軍奮闘。9回に4安打4点を挙げるまで、全パはイチローが放った3安打のみだった。
 「オレだけ…」というつもりはなかったが、他の選手の不甲斐なさに言わずにはいられなかった。自分だけ賞をもらっても「笑っていられない」というのがイチローという男だった。
 全パを率いるダイエー・王貞治監督も「残り1試合、全力で行く」と、4番に入りながら2試合で8打席5三振の近鉄・中村紀洋三塁手を外し、ダイエー・小久保裕紀内野手を置き、長崎での第3戦に臨んだ。
 しかし、意気上がる全セは巨人・清原和博一塁手の球宴12本目の本塁打などで8回までに13安打9点を奪い8連勝が濃厚に。ここでも意地を見せたのはイチローだった。8回、ヤクルト・五十嵐亮太投手から右越え3点本塁打を放った。20世紀最後の球宴で2試合連続優秀選手に選ばれたイチローのこれが日本最後のオールスターでの打席だった。
 イチローの日本でのオールスター成績は7年連続出場で、17試合出場、71打数28安打3本塁打で3割9分4厘。50打数以上の打者の中では、落合博満内野手(ロッテ、中日など)の3割6分5厘を上回っている。
 01年、大リーグ入りした後、9年連続でア・リーグの一員としてオールスターに出場し続けたイチロー。日本で8連敗のまま海を渡ったが、彼の地では初出場以来、1度も負けていない。

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