日めくりプロ野球 7月

【7月22日】1998年(平10) ノムさんのおかげで…川上憲伸、新人投手初のMVP

[ 2009年7月1日 06:00 ]

3回をほぼ完ぺきに抑え、ヤクルト・古田に握手を求められた中日・川上
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 【全セ4-1全パ】「どや、もう1回行けるか?せっかくの賞金のチャンスや」。2回を無失点に抑えた、新人右腕に全セの指揮を執る、ヤクルト・野村克也監督が声をかけた。
 18日に甲子園での阪神17回戦で完封してから中3日。「正直、迷った」。が、本拠地でのオールスター第1戦の先発を任され、せっかく監督がチャンスを与えてくれた中で、イヤとは言えない。中日・川上憲伸投手は3イニングス目のマウンドに登った。

 オリックス・イチロー中堅手に中前打を打たれたものの、冷静に後続を断ち3回まで2安打1三振で無失点。巨人・松井秀喜中堅手の先制本塁打など、2回までに全パの先発、近鉄・高村祐投手を攻略した全セの打線が川上を援護し、勝利投手になった。しかも、ファン投票で選出された新人投手としては初の勝ち投手となり、この試合のMVPに選ばれた。過去の球宴で新人がMVPを獲得したのは、80年の阪神・岡田彰布内野手、86年の西武・清原和博内野手の2人だったが、新人投手は川上が初めてだった。
 最速は144キロ。ストレートが手元で伸び、それにパ・リーグの打者が振り遅れた。見せたのは2回。西武・鈴木健内野手に二塁打を打たれ、1死三塁で迎えた近鉄タフィー・ローズとの対戦。ヤクルト・古田敦也捕手の要求する高めのボール球のストレートで三振に仕留めた。「古田さんのおかげです」という川上だが、「新人離れしたマウンドさばき。落ち着いていてもうベテランみたいな雰囲気」と古田はルーキー右腕を絶賛した。
 賞金200万円を獲得した川上に対抗心を燃やしたのが、もう一人のスーパールーキー、巨人・高橋由伸右翼手。全セのトップバッターとしてスタメンに名を連ね、2回の2打席目に左前適時打、4回の3打席目も右前打を放った。新人野手で球宴初出場の試合で2安打を放ったのは、69年の阪神・田淵幸一捕手以来、29年ぶり2人目。打点を挙げたのは田淵、岡田、巨人・長嶋茂雄三塁手と並んで4人目だったが、タイムリーヒットによるものは58年の長嶋以来、実に40年ぶりだった。
 川上には及ばなかったが、優秀選手賞で100万円をゲット。「上出来でしょう。球宴を楽しめましたし、結果も良かったですから。MVP?川上におごってもらいますよ。貯金なんかさせません」と高橋。明大・川上、慶大・高橋として、東京六大学時代からしのぎを削ってきた2人の活躍に、野村監督もしばし公式戦での戦いを忘れて、これからのプロ野球の行方に思いをはせた。「これからは若い選手がどんどん活躍して、球界を盛り上げないと。川上も高橋もプロ野球を背負って立てるだけの力がある選手。すぐに交代したらファンに申し訳ない」。
 制限いっぱいの3回まで投げた川上だけでなく、左肩の痛みがあり2打席で交代を申し出ていた高橋もノムさんはフル出場させた。高橋は翌23日の千葉マリンスタジアムでの第2戦にも先発出場。2戦を通じての新人賞に選ばれた。ライバル2人のせめぎ合いは続き、リーグの新人王争いまでもつれこんでいった。
 

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