日めくりプロ野球 7月

【7月13日】1994年(平6) 延長!乱闘!サヨナラ!祭りの夜はアツかった!

[ 2008年7月8日 06:00 ]

乱闘の後に冷静な読みでサヨナラ打を放った浜名。ダイエーを支えた貴重なバイプレーヤーだった
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 【ダイエー4-3オリックス】男の祭り「博多祇園山笠」の熱気がそのまますっぽり包み込んだような福岡ドーム。最高気温34・5度の猛暑も手伝って午後6時1分の開始から、何かが起こりそうな雰囲気だった。
 “山笠シリーズ”5連戦の初日はダイエー-オリックスの13回戦。8回にダイエーはルーキー、小久保裕紀内野手が押し出しの四球を選び、試合を振り出し戻すと延長戦へ突入。10回裏、無死一塁で騒動は起きた。
 この回からリリーフに立ったオリックス・長谷川滋利投手の2球目がダイエーのケビン・ライマー左翼手の右足を直撃。帽子を取らずにマウンドを降りてきた長谷川にライマーがキレた。

 痛む右足を引きずりながらも、長谷川に詰め寄ると右フックを立て続けに2発。やられた長谷川の口からは血が噴き出した。
 両軍選手、コーチが入り乱れながらも、乱闘は大きな広がりをみせずに収まった。しかし、ライマーの怒りは収まらない。「故意に当てた。当てるのは構わないが、帽子も取らずマウンドを降りてくれば、あんなこと(乱闘)になるよ」。
 長谷川にも言い分はある。「こっちが謝っているのに殴ってくるなんて…。僕が向かっていったということでもなかったのに…」。審判団の判断によって、暴力を振るったライマーは退場。長谷川は口の中を切ったが、続投することになった。
 殴られた長谷川は集中力が途切れ、冷静さを欠いた。一死を取ったもののフルベースに。打席にはラストバッターの浜名千広遊撃手を迎えた。
 祭りの喧騒、うだるような暑さ、乱闘による騒然とした雰囲気が残る中、3年目の左打者は一人クールだった。「死球の後だ。内角球は投げにくいはずだ」。アウトコースの真っ直ぐだけに的を絞った。その読みはスバリ当たった。ボール気味の外角高め直球を素直にレフトへ打ち返すと、田口壮左翼手の前で大きくはねた。
 見事なサヨナラ打。7回から先発・渡辺智男投手をリリーフし、1安打投球をみせた下柳剛投手へハーラーダービー単独トップとなる9勝目をプレゼント。チームは2位をキープした。
 浜名にとっては乱闘による興奮よりも、前の打席での凡打のことで頭の中がいっぱいだった。「集中してましたよ。(8回二死満塁のチャンスだった)前の打席で打てなかった(一ゴロ)でしょ。今度こそと思っていた」。好球必打、ひと振りで決めた浜名に根本陸夫監督は「競り合いの試合で勝ったことは非常に大きな収穫だ。ナイゲーム!」と褒め称えた。
 前身の南海から数えて、前年まで16年連続Bクラスのダイエー。結局、94年も4位に終わったが、77年以来の勝率5割を突破。貯金も9を数えた。
 広島、西武に続いてダイエーという畑を耕す役目を担った根本監督は、95年からはあっさり王貞治監督にその座を譲り、西武同様、チームを後ろから支えた。その後、98年に3位となり21年ぶりAクラス入りしたホークスは、翌年ダイエーとしては初優勝を遂げ、日本一になった。
 優勝メンバーの中に主力となった浜名の名前もあった。栄光への道のりの過程でのサヨナラ勝ち。チームが強くなっていく予感をファンが感じた、山笠の夜の1勝だった。

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