日めくりプロ野球 5月

【5月25日】1991年(平3) 荒井幸雄 千葉マリン公式戦1号本塁打は「しんどかった」

[ 2010年5月1日 06:00 ]

 【ヤクルト6―5中日】二塁に向かう途中でトップギアに入った。「三塁までは行けそうだな」。右翼線を転々とする打球の行方を見ながら、ヤクルト・荒井幸雄左翼手はダイヤモンドを疾走した。
 三塁ベースが近づくと三塁コーチャーの右腕がグルグル回っていた。「本当かよ、マジで」と思いながら、ベースを蹴った。ようやく返球されたボールが中村武志捕手に転送され、荒井はヘッドスライディング。土ぼこりの中で井野修球審が両腕を大きく広げているのが分かった。

 「草野球以外では初めて。こんなにしんどいホームランは今までにないよ」。ベンチに戻った荒井は息を弾ませながら、球団広報にマスコミ用のコメントを出したが、このランニング本塁打こそ、千葉マリンスタジアムの公式戦1号本塁打。ロッテが川崎球場から本拠地を移転する1年前のことだ。両翼100メートルの球場だが、荒井の飛距離は95メートル。“珍記録”の初本塁打となった。
 もしかしたら外野フライかシングルヒットだったかもしれない1号弾だった。5回、1死三塁で小松辰雄投手の初球を打った荒井の打球は右翼線に舞い上がった。マーク・ライアル右翼手が目測を誤ったのか、スタートが遅れダイビングキャッチを試みたが、打球はライン際にポトリと落ちた。
 さらにファウルグラウンドまで転がった打球をライアルが見失い、荒井が生還した。まずい守備がもたらした2点だったが、公式記録ではエラーが付かないどころか、2点本塁打が記録された。
 球場初本塁打には賞金が出るおまけ付き。しかも10万円という額を聞くと、荒井の顔がほころんだ。「本当に?ラッキー、ラッキー!必死に走って良かった」。気を良くした荒井は8回にも安打で出塁し、4番広沢克巳一塁手の今度は正真正銘の本塁打、センターバックスクリーンに飛び込む130メートル弾を呼んだ。
 オープン戦までさかのぼれば、ロッテの選手が1号アーチを放っている。マリンスタジアムのこけら落としの試合となった、90年3月24日の巨人戦で宮本和知投手から6回に初芝清三塁手が左翼へ3点本塁打を放った。当時の金田正一監督が「4番候補。これだけ飛ばすヤツはそうおらん」と絶賛した88年ドラフト4位で東芝から入団した2年目の大砲は、賞金30万円をゲット。公式戦の賞金より、オープン戦の1号弾の方が3倍のボーナスが出たというのも“珍記録”だ。
 初芝は1年目の7本塁打からマリン1号本塁打を放った91年、120試合に出場し、18本塁打を記録し、三塁のレギュラーを奪取。05年にチームの優勝を最後に引退するまで通算232本塁打を放ち、マリーンズの和製大砲としてチームを引っ張った。

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