日めくりプロ野球 5月

【5月10日】2008年(平20) 試合開始10分前に中止 ノムさん「ボビー、逃げたな」

[ 2010年5月1日 06:00 ]

 空は雨模様だが、土曜日の千葉マリンスタジアムのデーゲームには2万人以上の観客がスタンドに入っていた。が、試合は開始10分前に雨天中止が決定。やる気でいた楽天・野村克也監督が報道陣の前でぼやかずにはいられなかった。
 「お客さんは怒らないのかねぇ。みんな“えーっ”て声を挙げてたで。ファン無視もいいとこやな、ロッテは。ボビー、逃げたな」。顔は笑っていたが、ロッテのボビー・バレンタイン監督の思惑がなんとなく透けて見える中止に苦言を呈した。

 5連敗中のロッテ。チームの調子が上がらないばかりでなく、深刻な問題に直面していた。前日9日の同じ楽天戦。橋本将捕手が初回、本塁でのクロスプレーでホセ・フェルナンデス一塁手の体当たりを受け、右足首を捻挫し交代を余儀なくされた。
 試合前、田中雅彦捕手も右肋骨の骨折で登録を抹消。正捕手の里崎智也捕手はひじ痛のためファームで調整中のため、ベンチには9日の試合前に急きょ1軍に昇格したばかりの6年目、金沢岳捕手しかおらず、公式戦初のマスクをかぶることになった。
 しかし、いきなり組んだ1軍投手陣とのバッテリーの呼吸が合うはずもなく、中盤に8点を奪われ、4―11で大敗。ロッテは借金5で5位。最下位オリックスが2ゲーム差に迫っていた。
 次の試合で負ければ2年ぶりの6連敗。先発はエースの清水直行だったが、金沢とバッテリーを組むには時間がなさすぎた。そんなタイミングでの試合中止。意図的に試合を流したわけではないだろうが、野村監督は「時間稼ぎや。中止にするほど降っておらんやろ」と批判。楽天関係者は、試合前のブルペンでどうも清水が投球練習をしていないとの情報もキャッチしていた。
 それでも主催者側のロッテ球団だけでなく、審判団も判断した結果が雨天中止。ロッテにとっては恵みの雨になった。清水と金沢は1日かけて話し合い、橋本のアドバイスも受けて日曜日の楽天戦に備えた。
 清水は6安打6三振1失点、132球を投げて完投勝利を飾った。プロ2試合目の出場、スタメンでは初めての金沢はエースをよくリードし、打っては適時打で打点1。年俸500万円に満たなかった男の好リードでロッテは連敗を脱出した。
 ご機嫌ななめなのはノムさんだ。「うまいことやりおって。あのキャッチャー、予習バッチリや。清水も良かった」と雨天中止の効果がロッテ有利に働いたことに元気がなかった。
 野村監督は試合前から「嫌な予感」がしていた。試合開始前のメンバー交換の際、バレンタイン監督から知人の名刺を差し出された。ノムさんにとってこれは“ご法度”だった。ヤクルト時代から試合前に名刺を受け取ると、必ず負けるという不思議なジンクスがあった。
 「あいつ、オレのジンクス知っていたのかな。外国人のやることはようわからん」と野村監督は苦虫をつぶしたような顔つきで球場を後にした。

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