日めくりプロ野球 5月

【5月7日】2009年(平21) 覚醒したブランコ ナゴヤドーム初の認定本塁打

[ 2010年5月1日 06:00 ]

天井直撃弾を放ち、笑顔で生還したブランコ(右)
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 【中日4―3広島】広島・前田健太投手のストレートをフルスイングした同時に、白球は左翼方向へ高々と上がった。どこまで飛ぶんだ…。2万7000人近い観客が口を開けたままその行方を追うと、打球はナゴヤドームの高さ50メートルの位置にあるサテライトスピーカーを直撃して、グラウンドに落下した。
 山本貴三塁塁審の腕がグルグル回った。中日の新外国人、トニ・ブランコ一塁手の一打はドームの天井直撃の“認定本塁打”となった。「芯に当たったのでホームランになりそうな感じはあった。それにしても高く上がったな。グラウンドルールを知らなかったから、全力疾走で二塁まで走ったよ」と白い歯をみせるブランコだった。

 97年に開場したナゴヤドームでこれが初の認定本塁打だった。セ・リーグのアグリーメント(申し合わせ事項)で「打球がグラウンド上の懸垂物(スピーカーなど)に触れた場合、(1)外野フェア地域の9カ所のいずれかなら本塁打、ファウル地域ならファウルとなる。(2)内野中央の場合は、ボールインプレーとなり、内野中央の懸垂物に挟まったままになれば、二塁打になる」という決まりがあった。
 公式記録員からは「計測不能」と発表された4回の5号2点弾は、160メートルは飛んだはず。歴代6位510本塁打を放った落合博満監督も「初めて見させていただきました」と超特大の一発に脱帽した。
 ブランコの日本球界デビューは順調ではなかった。在日6年で240本塁打を放ったタイロン・ウッズの後がまとして期待されながら、4月は2割2分7厘で4本塁打、出場23試合を上回る30三振。優勝候補中日が4月5位と低迷した一因は4番の不振にあった。
 ゴールデンウイーク前、ブランコは石嶺和彦打撃コーチと落合監督から直々に打撃指導を受けた。ブランコはもともとオープンスタンスで打っていたが、日本の打者の多くがスクエアスタンスだったことを見習おうと変えたのが、打撃を狂わせていた。これを元に戻し、さらにタイミングの取り方を落合監督に伝授された。
 落合監督はさらに悩める助っ人の気持ちをほぐすように言葉をかけた。「まだ始まって1カ月。慌てることはない」。指揮官は自分の現役時代の写真を見せながら、さまざまなアドバイスを送った。
 この認定本塁打の前日に初の3安打猛打賞。認定本塁打の翌日の東京ドームの巨人7回戦では左中間スタンド上方の看板に直撃の本塁打を放った。推定飛距離150メートルの2日続けての超ド級弾で賞金100万円をゲット。覚醒した4番は5月に25試合で8本塁打21打点をマーク。三振22と減り、打率は3割6分5厘を記録した。
 終わってみれば打点、本塁打の2冠王。ウッズの20分の1の年俸で来日したドミニカ出身の大砲は、1年で約6倍の1億6500万円(推定)を稼ぐ選手になった。落合監督の言うとおり「慌てることはない」のであった。

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