日めくりプロ野球 5月

【5月18日】2007年(平19) デビュー11連敗松崎伸吾 新記録免れ、楽天に初の“1勝”

[ 2008年5月12日 06:00 ]

初勝利を挙げ、楽天ファンに祝福される楽天・松崎伸吾。2勝目が待たれる
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 【楽天5-0ロッテ】大学時代は公式戦20勝1敗。投げれば勝つのが当たり前だった、左腕投手はデビュー以来の新聞の敗戦投手の欄に11回載った。初めて勝ち投手の欄に載ったのはプロ23試合目、予期せぬアクシデントからだった。
 楽天の左腕、松崎伸吾投手はフルスタ宮城でのロッテ7回戦に2番手投手として登板。2回3分の2を無得点に抑え、シーズン1勝目と同時にプロ入り初勝利を飾った。06年に入団して以来、初勝利までは通算0勝11敗。半世紀以上前の1950年(昭25)に記録された国鉄・成田啓二投手と並んだ黒星街道は、あと1つ負ければ、デビュー戦からの連敗新記録という不名誉になるところだった。

 東北の楽天ファンは温かい。「本当に良かったな」「松崎、頑張ったな。次も頼むぞ」…。初勝利、しかも苦しかったこの1年以上の日々を思いやる言葉に松崎の目は潤んだ。「とても長かった。本当に嬉しい。我慢して使ってくれたチームに感謝したい」。それ以上何か言おうとすると、涙がこぼれそうになった。
 松崎は福島県相馬市出身。青森・光星学院高、東北福祉大と、ずっと東北でずっと育ってきた。この1勝は松崎自身の初勝利であると同時に、東北に根を下ろす楽天にとっても東北出身者初勝利投手という歴史的な白星でもあった。
 エース岩隈久志投手が4回で緊急降板。左わき腹の肉離れだった。ロッテ打線を2安打に抑えていただけに、楽天ブルペンは慌しくなった。まさかのときに備えて一度肩をつくっていたのは松崎しかいなかった。「行けるところまで行け」。ベンチからの指示に松崎がスクランブル登板。5回、先頭の橋本将捕手を三振にしとめてリズムに乗った。「きょうはボールがキレてる」と思い込むとストライクが先行し、2回を無安打に抑えた。
 相手の久保康友投手は5回まで無安打投球。6回、渡辺直人遊撃手に初安打を許し、一死一、三塁にすると鉄平中堅手の一ゴロを福浦和也一塁手が本塁に投げたが、松崎の大学の1年先輩、塩川達也二塁手がスタートよく滑り込み、間一髪セーフ。待望の先制点が入った。
 もしかしたら、勝てるかもしれない。そう思うと意識せずにはいられなくなった。7回、二死を取ったものの、四球と中前打でピンチを迎えた。「そのあたりはまだ自分の弱さ」と自己分析したように、11連敗中とあっては野村克也監督もなかなか信頼してはくれない。ここで小倉恒投手と交代した。
 「初勝利がちらついたんか!」。野村監督が松崎を怒鳴りつけた。直立不動のままベンチの前で動かない松崎。先発でKOされた直後に300球の投げ込みを命じたこともある、鬼より怖い指揮官にマウンドを降りるとどやしつけられ、顔面は蒼白だった。それでも小倉が後続を抑え、楽天は8回に一挙4点を奪い快勝。松崎は初めてお立ち台に呼ばれ、ファンから拍手喝さいを受けた。
 初勝利から1年。1勝を挙げた後に勝ち星はなく、また3連敗中。プロ野球の投手の連敗記録は大洋(現横浜)、権藤正利投手の55年7月19日から57年6月2日までに喫した28連敗。権藤はその“悲劇”を乗り越えて、現役21年で通算117勝を挙げ、67年には防御率1位のタイトルも獲得した。権藤も松崎と同じサウスポーだった。松崎のこれからの“逆襲”に期待したい。

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