日めくりプロ野球 5月

【5月31日】2007年(平19) 巨人史上初!矢野謙次“代打の代打”で逆転満塁本塁打

[ 2010年5月1日 06:00 ]

 【巨人7―3ソフトバンク】左投手を打てなければ、存在価値がない。自分にそう言い聞かせて打席に入った、巨人の代打、矢野謙次外野手はファーストストライクから振り抜いた。
 7回、1死満塁。カウント1ボールからの2球目。ソフトバンクの左腕・篠原貴行投手の外角直球をしっかりたたくと、打球はアッと言う間に東京ドームの左翼席に中段まで飛んでいった。

 実は矢野の出番ではなかった。最初に代打に指名されたのは、清水隆行外野手。ところがソフトバンクが右の佐藤誠投手から左の篠原に代えたため、巨人ベンチも動き、“代打の代打”で矢野を起用した。「役割としてこの場面は矢野だと思った。勝負強さという点で力をつけた選手。清水には“矢野に任せてくれ”と伝えた」と原辰徳監督の信頼は絶大。それは数字が物語っていた。
 代打成績はここまで18打数7安打1本塁打4打点、打率3割8分9厘。矢野以外の選手の代打成績は計11で50打数8安打0本塁打6打点、打率1割6分と比べてはるかに結果を出していた。
 「緊張はしなかった。打席でやることは決まっていた。最初のひと振りで仕留める。左投手を打たないと使ってもらえない立場ですから」と矢野。スコアラーが用意した交流戦用のパ・リーグ左投手だけのDVDをすべて見て、それを実践すべくドームで試合がある時は早出して三塁側ブルペンで1時間打ち込んだ。
 攻守交替の際、外野手のキャッチボールの相手も進んで務めた。「グラウンドの明るさに慣れておくのと、体をなまらせないため。ベンチにずっといるのは良くない」。殊勲のホームランはそこにたどり着くまでの準備を怠らなかったからこその当然の結果だった。
 0―3の劣勢なスコアを一気にひっくり返す値千金の一打にジャイアンツファンはオレンジのタオルをグルグル回し、球場のいたるところから歓声がこだました。矢野の通算16本目にして初の満塁本塁打は、逆転の一撃だけでなく、さまざまな記録がぎっしり詰まった特別な1本となった。
 巨人の代打逆転本塁打は00年5月7日、に江藤智内野手がヤクルト8回戦で伊藤智仁投手から放って以来、7年ぶり18本目。逆転となると87年(昭62)4月19日、広島3回戦で原辰徳内野手が清川栄治投手から打った一発以来、実に20年ぶり6本目だった。
 巨人の満塁本塁打は、1リーグ時代の1939年(昭14)8月24日、フィリピン出身のアデラーノ・リベラ内野手が後楽園で行われた対金鯱(きんこ)戦で中山正嘉投手から放った1号から矢野まで198本だが、代打の代打が放ったのは初めて。セ・リーグでも73年の広島・衣笠祥雄内野手、96年のヤクルト・大野雄次内野手が打っただけだった。
 外野のレギュラーをつかみかけた矢先、けがで長期離脱。2010年も5月に1軍に昇格したが、交流戦中に再度2軍調整に。原監督が認めた勝負強さはまだまだ健在。実力者ぞろいの巨人外野陣のポジション争いに再度割って入ることができるだろうか。

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