日めくりプロ野球 4月

【4月9日】1979年(昭54) 新人王大本命 森繁和 拙守、風、警告の後場外弾で撃沈

[ 2011年4月9日 06:00 ]

試合前に評論家と談笑する、中日・森繁和バッテリーチーフコーチ(左)と巨人・原辰徳監督(中央)
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 【近鉄9―3西武】新人王候補最右翼の評判どおり、西武・森繁和投手は開幕2戦目の1軍デビュー戦で3回まで2安打無失点投球をみせた。駒大時代の76年のドラフトでロッテに1位指名されながら「金田(正一)監督の指導法が嫌い」と入団せず、ノンプロへ行った右腕に「肝っ玉据わっとるな。新人王獲れる度胸や」とプロ26年生、野村克也捕手も舌を巻いた。

 ところが、1本の内野安打(失策と言っていい拙守)がルーキーの投球を180度変えてしまった。

 4回、近鉄の先頭打者、指名打者のチャーリー・マニエル外野手の一ゴロを田淵幸一一塁手が拙いグラブさばきで内野安打にしてしまうと、続く5番栗橋茂左翼手の左中間の当たりは平凡な外野飛球に見えたが、風にも乗って外国人のミューサー左翼手とマルーフ中堅手が互いに譲り合ううちにヒットに。処理をもたつく間に、決して足が速いとはいえないマニエルが一気に生還。ホームのベースカバーに入った森の不機嫌な表情に、近鉄ベンチから「ふてくされなさんな、新人さんよ」と野次が飛んだ。

 さらにリズムを狂わせるシーンが続く。1死三塁で7番羽田耕一三塁手の時に、初球を投げ終えると、寺本勇球審がマウンドに歩み寄った。「セットポジションの時にきちんと静止していない。次はボークをとるよ」と警告した。

 駒大、住友金属時代とそんなことは言われたことがなかった。度胸は太鼓判を押されていた森だが、突然の警告に動揺しない新人投手はいない。羽田への2球目。ストレートが真ん中高めに。プロの打者なら逃すはずもなく、打球は狭い日生球場の場外に消えた。続く8番平野光泰中堅手も左翼場外へ連弾。2死後、1番に打順が戻ると、石渡茂遊撃手にも左翼席中段に運ばれた。

 近鉄の右のエース、井本隆投手との投手戦の様相が拙守と風、警告でペースを崩された後、本塁打3発で撃沈。散々なデビュー戦で敗戦投手となった。「コントロールを気にしてボールを置きにいってしまった。自分のリズムで投げられなかった?それはないです。ボールが甘いから打たれた」と森。いいたいことは山ほどあったかもしれなかったが、口には出さなかった。

 それを代弁したのが野村。「あれだけいろいろあれば新人でなくともおかしくなるで。ルーキーやから守ってやらんと。審判もゴチャゴチャ言い過ぎや」。

 この初登板でミソを付けた森は以後、不運に見舞われた。2試合目の登板となった4月14日の、西武球場こけら落としの日本ハム1回戦では、自責点0にもかかわらず、拙守で5失点。失点1ながら勝てない試合が2試合続くと、5月5日の因縁のロッテ4回戦(西武)では7失点KO。ついに白星なしの6連敗となった。

 初勝利は初登板からちょうど1カ月後の5月9日、大阪球場での南海3回戦。9点の大量援護に守られて、南海・片平晋作一塁手の3点本塁打による失点のみで抑え、初黒星とは真逆の9―3で完投勝利を収めた。

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