日めくりプロ野球 4月

【4月4日】1986年(昭61) 江川卓復活!?“100球肩”返上の開幕戦完投勝利

[ 2011年4月4日 06:00 ]

開幕戦完投勝利を挙げた江川卓
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 【巨人6―1ヤクルト】3年目を迎えた、巨人・王貞治監督が初めて開幕戦で満面の笑みを見せた。エース江川卓投手が129球を投げ、6安打1失点で完投勝利を収めた。

 1年目阪神に引き分け、2年目は大洋に大敗と本拠地後楽園で開幕を迎えながら、気持ち良く終われなかった過去2年。自宅を出る際、夫人が差し出した黒いベルトを「白いのにしてくれ」と言った王監督。そこまで開幕戦白星スタートにこだわった中での江川の完投勝利に指揮官の表情は霧雨が降り続いた2時間51分の試合とは対照的。「オープン戦から投手陣に手応えは感じていたが、最初からエースが完投は大きい。後に続く投手に勢いが付く」と言葉が自然と弾んだ。

 しかし、背番号30のこれほどの快投を誰が予想しただろうか。“100球肩”“6回戦ボーイ”…。前年の85年、11勝(7敗)したものの、わずか3完投に終わり、巨人の2年連続V逸の戦犯扱いされた右腕が、全盛期を思わせる直球勝負が印象的だった。

 129球中変化球はわずか28球。初回こそ、2四球を出し1点を失ったが、エンジンがかかり出した4回以降は、散発3安打1死球の快投を演じた。

 圧巻は6回から7回のピッチング。4番杉浦亨右翼手から4者連続三振を奪った。1―1の同点で迎えた8回、2死一、二塁。打者は先制打を打った5番ブロハード中堅手の場面でも、王監督は動かなかった。「任せるしかない。球威はあったしね」。今年の江川は違うと肌で感じ取っていた。

 見事、内角高めのストレートを振らせて三振。ボール球に手を出させるほど、ストレートのキレは落ちていなかった。その裏、エースの気迫に打線がようやく呼応。ヤクルトの開幕投手、荒木大輔に7安打を浴びせながら1点しか奪えなかったのが、クロマティ中堅手の2点適時打などで一気に4安打5点。最後は主役の江川が簡単に3人で締めた。9奪三振は前年の最多タイ記録。田中俊幸球審ら審判団からは「いい時の江川に戻った」という声も聞かれた。

 開幕戦での完投勝利は82年の同じヤクルト戦に続き2度目。ただ、あの時は2本の本塁打を食らうなどヨレヨレ状態。試合も巨人のサヨナラ勝ちで運が大きくものを言った白星だった。

 堂々の完投勝利に「立ち上がりは力んだ。開幕だしね。でも4回くらいからは自分でも、いい感じだな、って実感できた」。前年はほとんどなかったすっきりとしたコメントが背番号30の口からなめらかに出てきた。

 試合があるとは思わずぐっすり眠ったのが良かったのかもしれない。前日3日にテレビで確認した天気予報は降水確率90%の強い雨の予想。「いつもなら登板前は4、5時間しか眠れない。なのに昨日は10時間も眠れた。あの低気圧、どこにいったんでしょうね。でも気象庁にお礼を言わなきゃ」とおどけた。

 翌87年に引退した怪物にとって開幕戦での完投勝利は通算135勝の中でも印象深い1勝に違いない。

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