日めくりプロ野球 4月

【4月18日】2003年(平15) 寺原隼人、志願のプロ入り初完投は26年ぶりの記録

[ 2010年4月1日 06:00 ]

 【ダイエー4―2近鉄】「全然大丈夫です!まだいけます」。2点差に迫られた8回のマウンドを終え、ベンチら戻ったダイエー・寺原隼人投手は、状態を尋ねる尾花高夫投手コーチに即答した。リリーフ陣の休養は十分。2年目の19歳右腕はここまでよく投げた。役目は果たしたが、ここまできたからこそ、あと1回を投げきりたかった。

 大丈夫と言った以上、それを示さなければならなかった。9回、寺原はこの日の最速149キロのストレートを投げ、近鉄の誇るクリーンアップ、3番ローズ、4番中村紀洋、5番礒部公一をきれいに3者凡退に仕留めた。128球、被安打4奪三振4、失点はローズと北川博敏捕手の2本のソロ本塁打による2点で食い止め完投でシーズン2勝目を挙げた。
 寺原にとってこれがプロ入り初完投だった。「2点を取られたのは悔いが残る。ホームランは気をつければ防げたから。でも完投できてホッとしている」。背番号20は心からの笑みを浮べた。寺原が完投勝利で嬉しいよりもホッとしたと答えたのには意味があった。
 近鉄戦の前、ダイエーは千葉マリンでロッテとの3連戦を戦って福岡に戻ってきたが、ロッテとの1戦目は杉内俊哉投手が、2戦目は新垣渚投手、そして3戦目は和田毅投手がそれぞれ完投勝利をマークしていた。
 寺原も完投で白星を挙げれば、4連続完投勝利となる。球団史をひも解けば、前身の南海時代の1977 年(昭52)4月3日、阪急とのダブルヘッダー第1試合で藤田学投手が完投勝ちし、7日の日本ハム戦で再度藤田が完投勝利を収めるまで、5試合連続1人の投手だけでまかない5連勝を飾ったという記録があった。寺原が流れを途切れさせなかったことで、ホークスの将来を背負って立つ4人が26年ぶりの偉大な功績を残した。
 「いい投球をして王監督に認めてほしかった。完投で3連勝していたのが、いい意味で刺激になった」と寺原。鳴り物入りで1年前に、プロのユニホームに袖を通した男の2年目は、一応、開幕から先発ローテーションに入っていたが「5、6番目の男」という存在。1回失敗すればいつファーム行きになるか分からない。簡単にローテからはずされないためにも、アピールできる投球をする必要があった。
 球団タイ記録を狙った近鉄との5回戦は、エース斉藤和巳投手を立てた。近鉄もエース、岩隈久志投手を送った。結果は斉藤が6回途中までに4失点と不調、岩隈との投げ合いに敗れたが、寺原自身は自分の役目を果たし納得していた。この年、寺原は初完投を含む開幕5連勝。前半戦のダイエーの好調を支えた一人だった。
 2010年、横浜でプロ9年目を迎えた寺原。完投数は通算9回と多い方ではない。18日現在2勝をマークしているが、一人で投げきった試合はまだない。コーチだった尾花監督が率いる横浜の浮上は、寺原の獅子奮迅の働きにかかっている。

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