日めくりプロ野球 4月

【4月7日】1979年(昭54) 28年ぶりの開幕戦3打席連続!田代富雄、日本一球団撃沈

[ 2010年4月1日 06:00 ]

通算268本塁打を放った田代。80年代の大洋の打の顔だった
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 【大洋9―0ヤクルト】開幕を祝って打ち上げられた花火よりも鮮やかな弾道が神宮の夜空を彩った。大洋の和製大砲、田代富雄三塁手がヤクルトとの開幕戦で3打席連続本塁打を放った。
51年(昭26)4月8日、近鉄の森下重好内野手が南海との開幕戦で同じ記録を打ち立てて以来、28年ぶり、セ・リーグでは初めての快挙だった。

 まずは2回、ヤクルト先発のエース、松岡弘投手の4球目、フォークボールのスッポ抜けを逃さず左翼席中段まで運んだ。「ラッキー、ラッキー、本当にラッキー」を連発した田代。前年松岡に5勝を献上した大洋にとって、開幕戦での先制弾は大きな意味があったが、79年の公式戦1打席目の“ラッキーパンチ”で気をよくした田代はこれでエンジン全開となった。
 4回の第2打席、初球。松岡が真っ向勝負にきたストレートを完璧に打ち返し、センターバックスクリーン右に飛び込む2打席連続の2ラン。「田代は一発はあるが、穴も多い。それほど怖くはない」というヤクルト・広岡達朗監督の目の前を悠然と走り、ゆっくりホームを踏む背番号26。ペナントレース、日本シリーズと続けて胴上げ投手の栄誉を味わった沢村賞投手を打ち崩し、5回6失点でKOしたのは紛れもなく田代の2発だった。
 1度調子づいた“オバQ”はもう止まらない。6回の3打席目、代わったばかり会田照夫投手の初球をレフトへ再び運んだ。3連発4打点で打線を点火させた田代につられて、大洋打線は中日から移籍のトーマス・マーチン右翼手、福島久晃捕手も本塁打を放ち、計12安打9点。投げては平松政次投手が3安打にヤクルト打線を抑え、1年3カ月ぶりに完封勝利を挙げた。
 77年、35本塁打3割2厘の成績を残し、松原誠一塁手に代わる新4番といわれながら、川崎から横浜移転の1年目は27本塁打2割8分8厘と前年を超えることができなかった田代。オープン戦でも打球が飛ばず悩んだ。田代の才能を見込んで監督就任以来、拙守に我慢しながら使った別当薫監督はチャンピオンチーム、ヤクルトとの開幕戦に合わせて調整させた。
 「バットをひと握り短く持って、グリップエンドの位置をやや下げろ。強振するな。ミートを心がけろ」。このアドバイスを徹底させ、開幕に臨んだ。試合前、別当監督の口調は自信に満ちていた。「広岡監督は守り、守りっていうけど、どんなに堅い要塞だってそれをぶっ飛ばす強力な大砲があればイチコロだよ」。
 別当監督期待の戦艦「田代」の主砲は見事炸裂。ヤクルトはこの後、浮上の兆しもなく、最下位に沈み、広岡監督は8月に球団とコーチの進退をめぐって対立し、辞任。球団創設29年目にして初優勝したヤクルトを田代の3発によってまず壁が崩され、崩壊への坂道を転げ落ちていった。

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