日めくりプロ野球 4月

【4月26日】2008年(平20) スタートはゆっくり でも平成生まれ投手の白星第1号!

[ 2009年4月1日 06:00 ]

初勝利を挙げ、バレンタイン監督に祝福される唐川
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 【ロッテ6-1ソフトバンク】高卒1年目、プロ初先発初登板。2人目の打者への決め球で、14年目の捕手が出したサインに首を振った。ロッテのルーキー、千葉・成田高出身の唐川侑己投手がカウント2-1から選んだのは変化球ではなく、ストレートだった。
 「真っ直ぐの調子が良くなかった。でも有利なカウントだったので、ストレートで抑えられれば乗っていけると思った」。外角高め141キロの直球にソフトバンク・仲沢忠厚二塁手のバットは空を切った。

 緊張して当たり前のマウンドで、冷静に持ち球を試して打者を仕留める。「新人ではちょっと見たことのない投手。全部の球種でストライクが取れる。ベテラン投手のように落ち着いて自分のペースで投げられるのがすごい」。サインに首を振られた、橋本将捕手は感心するばかり。新人右腕の好投を橋本はこの時予感した。
 初回、3番柴原洋右翼手に初安打を打たれたが、アウトはすべて三振で奪った。3回から5回までは3者凡退。最速146キロの直球と105キロのスローカーブ、ウイニングショットのスライダーを駆使し、気がつけば7回まで92球を投げ3安打5三振1四球無失点。後はリリーフ陣に任せて交代した唐川はプロ初勝利をマークした。
 「空が見えなく不思議だったけど、ドーム球場はおもしろかった。次は地元の千葉で勝ちたいです」。まだ気の利いたコメントは言えなかった唐川だが、歴史的な平成生まれ初の勝利投手としてプロ野球史にその名を刻んだ。
 高校出投手の初登板初勝利は15人目だが、ドラフト制後4月に勝ったのは99年の西武・松坂大輔投手以来、9年ぶり4人目。ロッテではドラフト1期生が入団した66年(昭41)以後、高校出の投手が1年目に勝ったことはなく、毎日オリオンズ時代の52年(昭27)9月23日、大映21回戦(後楽園)で京都・平安高(現、龍谷大平安高)から入団した、夏の甲子園優勝投手・清水宏員(ひろかず)投手以来、実に56年ぶりのことであった。
 高校生ドラフト1位投手の快投に、大学・社会人ドラフト1位のソフトバンク・大場翔太投手も触発され3回まで無安打投球をみせたが、4回に連続二塁打で先制点を許すと、唐川とは対照的にムキになった。
 4月5日のロッテ戦で16三振を奪い、白星を挙げた大場だが、この日は唐川を上回る8奪三振を記録しながら、6回3分の1で8安打4四球4失点。3敗目を喫した。敗れたソフトバンク・王貞治監督は言った。「唐川君は1年生だけど、ちゃんと自分を表現できていた。この世界に年齢は関係ない」。プロの投手として、世界の本塁打王に認められた瞬間だった。
 日本ハム・中田翔内野手、ヤクルト・由規投手とともに「高校ビッグ3」と呼ばれてプロ入り。キャンプから1軍入りし、連日その動向が報じられる2人とは対照的に2軍スタートとなった唐川。しかし、焦りはなかった。「投球フォームと同じ。僕は何でもゆっくりですから」。ゆっくりと足を上げて、体重を乗せた後、腕の振りを早くとう小学校の時から変わらぬ投球フォームのように、唐川は機が熟すまで1軍昇格を考えなかった。
 その間にむしろもう1つ球種を、ということで荘勝雄2軍投手コーチとチェンジアップ習得を試みた。すると「1週間で覚えた」(荘コーチ)。計り知れない野球センスの持ち主は、スロースタートでも誰よりも早く1軍で結果を残した。
 ロッテの重光昭夫オーナー代行は、唐川が09年に2ケタ勝利を挙げれば、ロッテ製品のCMに出ているフィギュアスケートの浅田真央との共演を検討するとしている。ルーキーイヤーは5勝止まり。初勝利から1年たった09年4月26日現在、唐川は1勝。夢のCM実現まであと9勝。今後の奮起が待たれる。

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