日めくりプロ野球 3月

【3月30日】2007年(平19) 新1番高橋由伸 史上2人目の開幕戦先頭打者初球本塁打

[ 2010年3月1日 06:00 ]

 【巨人3―2横浜】3万人の観衆の誰もが一番注目する、開幕戦の1回表の先頭打者への初球。細心の注意で第1球を投げた横浜・三浦大輔投手にいきなり強烈な先制パンチを食らわせたのが、巨人の新1番打者・高橋由伸右翼手だった。

 外角真ん中寄りの134キロのスライダー。「初球から手を出すかもしれないと思い、バットの芯を外すつもりで」投げた球を振りぬいた打球は横浜スタジアムの右翼席中段に突き刺さる本塁打。打った瞬間右腕を高々と上げ、打球の着弾を確認した背番号24。「甘い球が来たらとにかくフルスイングしようと…。訳も分からず打った。ガッツポーズは自然というか、嬉しくって出ました」。
 開幕戦の1回表、先頭打者の本塁打は過去6人。それが初球となると、1962年(昭37)4月7日、阪急(現オリックス)の衆樹(もろき)資宏中堅手が大阪球場での南海(現ソフトバンク)戦でジョー・スタンカ投手から放って以来、実に45年ぶり。セ・リーグでは初の快挙だった。
 巨人軍史上初の2年連続Bクラス、4年連続V逸…。原辰徳監督復帰の06年は屈辱にまみれた1年だった。敗因の一つが1番打者を固定できなかったこと。実に13人の選手が名を連ねたが、指揮官を満足させたプレーヤーはいなかった。2番との組み合わせは42通りにもなった。どの組み合わせも納得しなかった証拠である。
 07年も切り込み隊長役が決まらぬまま、オープン戦も終盤を迎えていた。3月15日、神宮でのヤクルト戦。クラブハウスに原監督は高橋由を呼んだ。「今年は1番でやってもらう。スタイルは変えなくてもいい。巨人で初めて200安打を達成してみろ。ただ注文が一つだけある。それは相手投手を観察し、後の打者に伝えてくれ」。
 原監督が高橋由を1番に指名したのはトップバッターに対する価値だった。「俺の中で1番打者というのは、4番打者と同じくらい重要だと思っている。今年のヨシノブはメンタル、コンディションに強さを感じる」と原監督。右足首のけがから2年間、不本意な成績に終わった天才打者は07年に期するものがあった。
 原監督の熱い思いとは裏腹に、指名された高橋由の本心は「降格だと思った」。だからマスコミに新1番打者ともてはやされても、どこか冷めていた。それを吹っ切ったのがこの史上2人目のアーチ。「あれでよし、と思った。チームにも勢いをつけられたし、今年はこれでやっていこうと。みんなが思うような盗塁をバンバン決める1番にはなれないけど、クリーンアップを打てるような文句のない数字を残せば、1番の固定観念を越えることになる。それで僕の存在感を示したかった」。
 原監督の要望通り、相手投手をよく観察した結果、10年目にして過去最多の82四球を選んだ。その一方で先頭打者本塁打は9本を数え、1シーズンとしては新記録となり、5年ぶりのリーグ優勝をもたらした。この優勝こそ、栄光の9連覇以来、36年ぶりのV3を達成した新生巨人の第一歩。すべては高橋由の一発から始まった。
 2010年、高橋由は腰の手術から2度目の復活劇を果たすべく、一塁にコンバートしてスタートした。開幕3連戦で打率3割3分3厘。まずまずのスタートを切った。

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