日めくりプロ野球 3月

【3月12日】2006年(平18) 「なでなでしただけ」原辰徳、“東海魂”ない後輩をキック!

[ 2010年3月1日 06:00 ]

大学の後輩久保(右)にアドバイスする原監督
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 【阪神5-2巨人】試合はまだ続いていたが、巨人・原辰徳監督は怒りを抑えておくことができなかった。甲子園球場、三塁側ベンチ奥。呼び出された久保裕也投手は、直立不動。その表情は明らかにこわばっていた。
 「何回も同じことをしやがって!」と声を荒げる指揮官の右足が久保の左足を蹴った。さらにもう1発蹴りが入ると目はうつろ。原監督は東海大の後輩右腕の顔をにらみつけるように凝視し続けた。

 「久保を蹴った?“なでなで”しただけだよ。しっかり頑張れということ。彼の役割は大きい。期待しているんですよ」。“なでなで”という体育会系特有の表現で久保に気合いを入れたことを認めた指揮官。“なでなで”された久保は確かに同じパターンでやられすぎていた。
 この日の阪神戦8回から登板した久保は先頭の赤星憲広中堅手にカウント1-0から簡単にストライクを取りにいった直球を痛打され、中越え三塁打を浴びた。1点を許した後、1死一塁で4番・浜中治右翼手に今度はカウント2-1から左翼席へ2点本塁打。2点ビハインドの巨人は久保に8回を任せ、最終回の反撃にかけるはずだったが、試合はこれで壊れた。
 その5日前の横浜戦。1点リードの9回2死、カウント1-0から吉村裕基内野手に同点アーチを浴び、勝利を目前にして引き分けに持ち込まれた。繰り返された投手有利のカウントでの痛打。久保を勝ち試合でのセットアッパーとして使う構想を抱いていた原監督にとって、あまりにも安易にやられる大学の後輩の投球が、どうしても我慢できずにやった“なでなで”だった。
 「同じミス。監督が頭にくるのも仕方ない」とうつむきながら甲子園を後にした久保。だが、試合が続けば連投もありうるセットアッパーは長い時間落ち込んだり、考え込んだりしている時間はない。翌13日、場所は岐阜に変わったが同じ阪神とのオープン戦。状況も同じ8回1死一塁、打者浜中という場面で原監督は久保にリリーフを命じた。
 これで失敗したら後がない。いや野球人生そのものの危機に直面するかもしれない。久保は浜中に立ち向かった。追い込んだ後、勝負球は前日やられたのと同じ直球。今度は三振に仕留めた。「なんとかしてやろうという東海魂」(原監督)をそのままピッチングで示した久保に、ベンチは総立ちで出迎えた。
 原監督の久保に対する期待は大きい。しかし、05年の64試合登板をピークに出番は年々減り、ここ2年は1ケタの登板数に終わっている。2010年は8年目。後輩投手の台頭で、年々厳しくなる環境を打破できるか。原監督の言う“東海魂”が試される。

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