日めくりプロ野球 3月

【3月6日】2001年(平13) “ビッキー”さえた ルーキー帆足和幸1軍入り当確

[ 2010年3月1日 06:00 ]

阪神とのオープン戦で決め球のパームボールを駆使して好投した西武・帆足
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 【阪神2-1西武】初回、2死一、二塁のピンチをいきなり背負った。阪神の5番、一発のある広沢克実一塁手に西武のドラフト3位ルーキー帆足和幸投手は、決め球“ビッキー”で勝負に出た。スローボールにも見える回転のほとんどない球を強振した広沢のバットから、快音は聞こえず、白球は伊東勤捕手のミットに吸い込まれた。

 決してダイナミックな投球フォームではない。ストレートも最速142キロ。正直、マウンド上でも威圧感があるとはいえない帆足のウイニングショット“ビッキー”の正体はパームボール。指の短い帆足がフォークボールの習得が難しかったため、福岡・三井高時代に必死にマスターした生命線となるボールだった。“ビッキー”の愛称は同じくパームを決め球にしていた、高校の先輩の実家がハンバーガー店を経営、その屋号にちなんで命名したものだった。
 先発で5回を投げ、3安打2失点。阪神の新外国人イバン・クルーズ左翼手に一発を浴びただけで、80球の粘りの投球をみせた。「もう少し制球に苦しむかと思ったが、まとまっていた。パームは握り方が打者に見えやすく危ない球だけど、帆足の場合は腕の振りがストレートとほとんど変わらない。使えるよ」とベテラン伊東のお墨付きをもらった。
 1軍でもいける。そう判断した東尾修監督の表情はほころんだ。「何せ左がいないからね。貴重な戦力だよ。このまま行けば開幕も上でやってもらうことになる」。東尾監督が就任した95年、大黒柱の工藤公康投手がFA移籍して以来、ライオンズで先発した左腕が白星を挙げたのはわずか15勝。前年の00年はついに1つも勝てなかった。
 帆足のドラフト指名もその現状を踏まえてのものだった。九州三菱自動車で営業マンのかたわらで野球に打ち込んでいたが中央球界では無名の存在。三菱重工長崎の補強選手として都市対抗に出場し、にわかに各球団がマークするようになった。ただ、即戦力とみた球団はなく、今後期待程度の評価だった。それでも「来年まで待つと1位候補にもなりかねない」という現場スカウトからの進言で、左腕の有望選手獲得が命題だった西武は“青田刈り”。3位で指名した。
 その帆足が早くもチームに貢献したのは、01年3月27日。開幕3試合目のオリックス1回戦(神戸)で、先発の西崎幸広投手が右足内転筋を痛め、3分の1わずか10球で降板すると、4月1日の近鉄戦で先発予定だった帆足に突如ご指名がかかり登板。得意のパームを駆使し、5連続を含む6奪三振で4回3分の1を投げて、プロ初登板初勝利をマークした。
 ドラフト制後、ライオンズで開幕3試合目に新人が勝ち投手になった最速記録。ルーキーながら強心臓の持ち主は、投球より別のことで緊張していた。それは「ヒーローインタビューで九州弁丸出しになってなまったらどうしよう」。
 2010年はプロ10年目。09年9勝止まりだった悔しさをぶつけ、4度目の2ケタ勝利を狙う。

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