日めくりプロ野球 3月

【3月7日】2008年(平20) 虎の新井貴浩、移籍1号!指揮官も安心したが…

[ 2009年3月1日 06:00 ]

4回、1死一塁で新井は田中の真っ直ぐを完ぺきにとらえ左翼中段まで運ぶ移籍1号本塁打を放った
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 【楽天7-4阪神】格別な1発だった。バットを高々と放る、独特の決めのポーズも自然と飛び出した。4回1死一塁、オープン戦15打席目。楽天の開幕投手候補、田中将大の145キロのストレートに負けず、低い弾道でスカイマークスタジアムの左翼中段まで持っていった阪神・新井貴浩一塁手の移籍1号本塁打は完璧という言葉がピッタリの、観客をうっとりさせる美しい打球だった。
 「やっぱりホームランは気持ちがいいですね。マー君のボールはすごい球だけど、体が反応したというか、うまく回転できたね」とご満悦の新井。2年目、弱冠19歳といえども、新井とともに北京五輪日本代表候補に名を連ねるイキのいい投手の真っ直ぐに対応できたことが“今年もやれる”という自信と安どにつながった。

 後ろ髪引かれる思いで広島からFA移籍した新井のことを誰よりも心配していた岡田彰布監督も思わず笑みがこぼれた。「ええ音やった。久しぶりに聞いた快音や。あの当たりを打っていれば心配ない」。長打力不足でここ2年優勝を逸していた阪神にとって、大砲の豪快な一撃は待ちに待ったものだった。
 しかし、新井の目を見張るようなアーチは08年のシーズン中わずか8本しか見られなかった。迫力のある一発よりも、広島時代の06年から取り組んでいた確実に率が上がるコンパクトなスイングで右方向の打球を意識した。3番に入った新井は“アニキ”こと4番・金本知憲外野手につなぐことこそ、大好きだったカープに別れを告げ、阪神で優勝するための近道と判断したからだった。
 その裏には新天地で本塁打を狙って打撃を崩すより、アベレージ志向でいったほうが、無難という考えもあったことは否定できなかった。05年に43本塁打でタイトルを獲得した新井に岡田監督も当初はアーチを求めたが「得点が増えるならそれでもいい」と、新井の考えを尊重した。
 北京五輪出場、腰の故障で94試合の出場にとどまったが、新井の出塁率はプロ10年目で最高の3割7分3厘を記録。8本塁打の割には打点59と、01年に18本と倍以上の本塁打を放った時の56打点を上回った。その意味では新井の狙いは間違っていなかったといえる。
 それでも阪神は巨人に大逆転Vを演じられ、3年連続涙をのんだ。新任の真弓明信監督は「打撃の意識を変えてもらいたい選手がいる」と新井に対して、長距離砲の復活を命じた。新井の本塁打量産こそが優勝に不可欠な要素の1つと考えたからだ。意外と腰に負担のかかる一塁から広島の時に守っていた三塁に戻したのもそのためだった。
 新井は本塁打キングを獲った時の、テークバックを大きく取り「ボールを長くバットに乗せる感じ」の打撃の復元に09年のキャンプを費やした。バットも広島時代の重心がバットの先端の方にある長距離打者タイプのものに戻した。
 09年は“アーチスト”新井が復活するのか。今年は金本の後の5番に座り、塁上の走者を掃除する役目を担うことになりそうだ。

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