日めくりプロ野球 2月

【2月3日】2006年(平18) 井端弘和V落合博満 降雨コールドゲーム

[ 2010年2月1日 06:00 ]

 突然の強い雨は、あがる気配がないまま降り続いた。沖縄・北谷での中日キャンプ。練習後の名物となった落合博満監督の個人ノックは第1ラウンドは、残念ながら“降雨コールドゲーム”。苦笑いしながら、指揮官は無言のまま球場を後にした。
 個人ノックの最初の相手は井端弘和遊撃手。04年、落合監督就任2年目からスタートしたこの“恒例行事”の洗礼を最初に受けたのも井端だった。以後、2年連続ゴールデングラブ受賞の球界トップレベルの内野手にまで成長。前半戦独走も、交流戦で失速し、球団初の連覇を逃した落合監督は、優勝した年の原点に戻るという意味も含めて、V奪回の願いを込めて井端に左右前後に振り回した。

 時に緩く、時に痛烈な当たりまで、落合監督のノックバットから繰り出される打球は変幻自在。同じコースでもボールの回転数が微妙に違うなど、1球たりとも同じものはなかった。それでもセ・リーグNO.1ショート。ほとんどの打球を難なく処理し、時折落合監督は“なかなかやるじゃねぇーか”というような表情で笑みを浮べた。
 スタートから30分。予定の半分で雨のため中止せざるをえなかったが、何度となく打球に飛びつき好捕してみせた井端のユニホームは泥だらけ、顔面は汗まみれ。監督との1対1の真剣勝負の激闘のあとがうかがえたが「まだ(対決は)“オープン戦”ですから。あと1時間くらい平気だった。まあ、慣らしの段階ですね」と井端。毎年2、3度“対決”する2人。名手の言葉は、監督との“定期戦”を楽しんでいるかのようだった。
 ただの守備練習、打球に対する執着心を身につけるための集中ノックではなかった。落合監督は言う。「低い姿勢で打球を待ち、受けることで野球に必要な足腰が鍛えられる」。このノックが始まってから、井端の守備はさらにレベルアップした。それを目の当たりにした二遊間を組む荒木雅博二塁手も外野と併用されていた森野将彦三塁手も志願で監督ノックを受けるようになり、ドラゴンズの内野陣の守備力は毎年着実にアップしていった。
 井端を評して「球際に強い」とする野球評論家は多い。しかし、本人は「そうは思わない」と否定する。考えていることは始動の速さの一点に尽きる。「野球は0・1秒の勝負、ボール1個分の勝負の積み重ね。一瞬でも判断や反応が遅れたら、捕れるボールも捕れないし、打てるボールも打てない。逆に捕れそうもないボールも0・1秒早く動けば捕れる」。
 09年は開幕前に右目が見えなくなるというアクシデントにもかかわらず、過去12年で2番目の高打率となる3割6厘をマーク。一時は首位打者の位置にいた。守っても“落合ノック”開始以来、6年連続のゴールデングラブを獲得した。今年の井端VS落合はいつ見られるのか。これが始まると、中日のキャンプはだんだん熱を帯びてくる。

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