日めくりプロ野球 2月

【2月1日】1993年(平5) ゴジラ松井秀喜 打率“打率2割5分”もいきなり4発!

[ 2010年2月1日 06:00 ]

ルーキーイヤーは57試合に出場し11本塁打だつた松井。計41安打を放ったが二塁打9本を合わせると半数が長打だった
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 打ち出してからちょうど30スイング目だった。930グラムの褐色のバットから飛び出した白球は、グングン伸びてバックスクリーン左のネットに直撃した。「オオ~ッ」。球場中が打球の着弾を見届けると一様にどよめいた。
 巨人の宮崎キャンプ初日。12年ぶりに復帰した長嶋茂雄監督が熱い視線を注ぐ中、ゴールデンルーキー松井秀喜外野手がフリー打撃を行った。マシーンと打撃投手相手に計48スイング。安打性の当たりは12本、うち本塁打は4本。“打率2割5分”の“ゴジラ封切り”だった。

 「どうだ、プロの練習は?」。松井がバットを持って順番待ちしていると、突然長嶋監督が声をかけた。驚いた松井は「まだ慣れていないので…」と引きつった笑顔をみせるのが精いっぱい。緊張は極度に達した。
 ケージに入ってまずはマシーン相手に12スイング。本格的に打つのは4カ月ぶりでタイミングが合わず、右方向への凡飛球、凡ゴロを連発した。ようやく12スイング目に右越えの本塁打を放ち、ホッとひと息。次は田子譲治打撃投手相手に“生きた球”を打った。
 ここからが本領発揮。ヒット性の当たりも増え、外野へ打球が飛ぶようになった。長嶋監督の横には須藤豊ヘッドコーチ、中畑清打撃コーチらが打球だけでなく、打席内のしぐさまでじっくり見て品定め。須藤ヘッドが長嶋監督につぶやいた。「ミスター、予想以上だね。雰囲気持ってるよ」。長嶋監督は2、3度大きくうなずいた。
 48スイングを終えると、さすがにぐったりした様子の松井。4本塁打にも「まだ感じがつかめていません。初めてで要領がつかめなくて…。バッティング?まだまだですね」とあまり自信にはなっていないようだった。
 本人の評価は低かったが、周囲はそうではなかった。特大アーチを含め3本被弾した田子がマウンドを降りて感想を漏らした。「打席での威圧感が凄い。スイングスピードとヘッドの速さはプロでもそういない。高校生じゃないね」。中畑コーチも絶賛した。「何が素晴らしいって体の軸が全くブレないことだよ。それにスムーズなステップもいい。騒がれるだけのことはある」。ネット裏で見ていたスポニチ評論家の田淵幸一氏もうなった。「バットを軽く扱うヘッドスピードの鋭さ、下半身の強さ、軸足内転筋のタメのできたフォームは完成品。入団時に“いつかホームラン王に”と言っていたが、近い将来に実現できるものを持っている」。
 35年前、松井同様鳴り物入りでジャイアンツ入りした長嶋監督はゴジラの第一印象をどう感じたのか。「ケージ内での落ち着きとか、安定した打球はリポート通り。何ら指示するところはありません。問題は体。プロとしての芯の強さはやはり鍛錬を要する。それも時間が解決してくれるんじゃないかな。とにかく早くプロの水に慣れてほしい」。
 大物新人の評判に違わぬお披露目をした松井。1軍公式戦でのプロ初本塁打それから3カ月後に飛び出した。
 
 

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