日めくりプロ野球 11月

【11月26日】2002年(平14) 打撃の天才・石井義人、道が拓けたトレード

[ 2009年11月1日 06:00 ]

移籍後、7年で3割以上の打率は5度を数える石井。無理に引っ張らず左方向へ打つバッティングは逸品だ
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 横浜、西武の両球団から2対2の交換トレード成立が発表された。横浜からは細見和史投手、石井義人内野手が、西武からは富岡久貴投手、中嶋聡捕手がそれぞれ新天地へ旅立つことになった。

 コマ不足の左腕と谷繁元信捕手が中日にFA移籍して以来、正捕手が定まらないベイスターズは、バッティングに関しては“天才”とまでいわれた石井と96年のドラフト1位右腕を放出してまでもウイークポイントを補強したかった。一方で、チーム内では石井の存在価値が薄れていたことも事実だった。
 02年のドラフトで横浜は、ドラフト自由枠で東都大学リーグのスラッガー、日本大・村田修一三塁手の獲得に成功。前年9月から1軍でようやく打撃の才能を開花させた左打者の古木克明内野手が1カ月強で打率3割2分、9本塁打の数字を残し、03年に向かって大きな期待を抱かせた。三塁手、左の強打者…。石井のポジションとかぶる有望株の入団と若手の台頭に山下大輔新監督となった横浜では居場所がなくなってしまった。
 そんな時に西武とのトレード話が舞い込んだ。「地元埼玉でもう一度再出発するのもいいかもしれない」。苦手の守備のことでもとやかく言われることが多かった石井は、不完全燃焼に終わった横浜での6年間を振り払うべく、移籍を受け入れた。
 もともと浦和学院高時代に高校日本代表として米国で試合をした際に、シアトル・マリナーズのスカウトが注目し、入団交渉を仕掛けたほどの天性のバッティングセンスの持ち主。環境が変われば開花する可能性は十分あった。移籍1年目こそ出遅れたが、2年目の04年に二塁手に挑戦。シーズン後半に活躍の場を見つけ、プロ8年目にして初めて年間100打席以上に立ち、3割4厘をマークした。
 05年は初の開幕スタメンを果たし、オールスターにも出場。立花義家打撃コーチの指導でさらに打撃が磨かれ、打率3割1分2厘で打撃成績4位となり、チームの日本一に貢献。125試合に出場し、レギュラーの座を勝ち取った最高のシーズンとなった。貴重なバイプレーヤーから主力選手へと成長。09年は一塁へコンバートし、5番打者として打率3割を打った。
 トレードの対象になった4選手のうち、横浜からさらに日本ハムへ移った中嶋は現役だが、レギュラーとして常時試合に出ているのは石井のみ。2人の投手は球界の一線からは退いた。
 トレードによってチャンスをつかみ、レギュラークラスの選手となり、日本一も2度経験した。横浜にあのまま居続けたら、持っている力を十分発揮できたかどうか。トレードによって大きく道が拓けた、まさに環境を変えて大成功した典型例。くすぶっている選手の新天地行きに勇気を与える、石井の活躍は2010年も続くはずだ。

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