日めくりプロ野球 11月

【11月14日】2008年(平20) レギュラーの保障なしで…二岡智宏、異例の選手会長トレード

[ 2009年11月1日 06:00 ]

09年の日本シリーズ第1戦で6回に左前適時打を放った日本ハム・二岡
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 もしかしたら…という予感もあったが、いざ決まってみるとファンにしても、関係者にしても衝撃のニュースだった。巨人の選手会長・二岡智宏内野手、林昌範投手と日本ハム・マイケル中村投手、工藤隆人外野手の2対2のトレードが両球団から発表された。
 球界では異例の選手会長在任中の移籍。「チャンスをいただいたことには感謝の気持ちでいっぱい。日本ハムでは実績がないのでゼロからの出発。頑張りたい」と会見では前向きな言葉を口にした二岡だったが、その表情は最後までこわばったままだった。

 故障、スキャンダル、そして若手の台頭…3つの要素が二岡に降りかかってのトレードと言っても過言ではないだろう。巨人で10年レギュラーを張ってきた男が開幕戦で足の故障を抱えて強行出場し、右ふくらはぎを肉離れ。選手会長はいきなり戦線離脱した。ファームでのリハビリ、調整を続けていた矢先に週刊誌で報じられた人気タレントとの不倫騒動。気がつけばショートの定位置は2年目19歳の若武者、坂本勇人内野手が奪い取っていた。
 1軍に復帰したもののポジションはサード。「遊撃手という場所にこだわりを持ち続けていた」という二岡の居場所はなくなったも同然で、それが打撃にも影響。入団以来初めて打数が100を切り、安打は最低の24本。1本塁打7打点もこれまでにない寂しい数字だった。
 時代が変わったとはいえ“巨人軍選手は紳士であれ”という古くからの伝統が根付く球団。女性とのスキャンダルはやはり“致命傷”だった。行き先さえあれば、放出はシーズン中から規定路線のようになっていた。
 わずか1年でその存在感が薄くなった男に、貧打でリーグ3連覇を逃した日本ハムが目を付けた。12球団最低の82本塁打のファイターズは「普通に打てば20本以上は打てる」と梨田昌孝監督は二岡を評価。リーグ優勝を飾った巨人は投手陣のさらなる整備として、不安定なストッパー、マーク・クルーン投手のサブ的な存在としてセットアッパーができる投手を探していた。そこで日本ハムで4年間に102セーブを挙げたマイケルに注目。加えて足の速い選手を求める巨人と左のリリーフが欲しい日本ハムの思惑が合致して複数トレードに発展した。
 さぞかし二岡は歓迎されるだろうと思いきや、梨田監督は厳しい言葉で“新人”を迎えた。「“二岡さん、ポジション空けて待っていますよ”というわけではない。ライバルは多い、故障をきっちり治して定位置を奪い取ってほしい」と叱咤激励した。
 背番号も当初1ケタの番号が用意される雰囲気だったが、空きがなくしかも変更をすることもなかったことから「23」に。栄光の巨人軍と別れることになった二岡は家族とともに札幌へと移った。
 移籍1年目の二岡は69試合に出場。こだわりのあったショートでの出場は1試合に終わった。安打数は43本、打点25は勝負強さをみせたが、完全復活とはならなかった。
 09年の日本シリーズ第1戦で古巣巨人相手にタイムリーヒットを放ち、意地をみせた。来季は34歳、12年目。まだまだ老け込む年ではない。競争の激しいファイターズ内野陣でレギュラー奪取の戦いこれからも続く。

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