日めくりプロ野球 10月

【10月17日】2009年(平21) ノムさん「胴上げしたい」の一心  楽天 CS第1S突破!

[ 2010年10月1日 06:00 ]

 【楽天4―1ソフトバンク】楽天のセンター・鉄平が打球をグラブに収めた瞬間、マウンド上の背番号18は声を上げてガッツポーズをした。球団初のクライマックスシリーズ(CS)、勝てば日本シリーズをかけて、覇者日本ハムへの挑戦権を得る大一番で田中将大投手は初の無四球完投勝利を果たした。
 負けた時点で09年の戦いは終わり。同時に球団から解雇を言い渡されている野村克也監督と野球をやることもできなくなる。「監督を胴上げしたいと思っているし、監督と1試合でも多く試合をしたい」。田中はお立ち台でそう話したが、偽らざる気持ちだった。

 入団してから3年。野村監督に顔さえ見れば言われ続けた「原点」に徹した123球だった。原点とは右打者の外角低めのコントロール。これが勝ち星を重ねるための生命線と野村監督は教えてきた。ソフトバンクのスタメン5人の右打者に18打数で打たれたヒットは小久保裕紀三塁手の2本だけ。ほかは完璧に抑えた。
 35打者中、初球にストライクをとったのは22打者。有利なカウントに持ち込み、フォークやスライダーのボール球を振らせる投球で9奪三振。「人は緊張感の中で成長していくんだなってことをあらためて実感した。マーくん?あれぐらいは投げられる子や。驚くこともないが、試合が試合だけにご苦労さんやった」。大きく成長した21歳の右腕を褒めちぎることはなかったが、ノムさん流の言い方で好投を称えた。
 もう一人、ノムさんと1日でも長く野球をやりたい男がいた。マーくんとは2倍年が違う山崎武司内野手は、5回に試合を決める2試合連続本塁打となる3点弾を左翼スタンドに放り込んだ。
 「あんなの初めてかな?監督の喜ぶ顔が見られてうれしいよ」。生還した山崎を満面の笑みで迎えると、野村監督はそのまま背番号7を抱擁した。ホームランを打ってもこれまで表情を崩すことがあまりなかった指揮官が素直な気持ちを包み隠さず出したシーンに、山崎は本当にこの監督と出会えてよかったと心から思った。
 オリックスから戦力外通告を受け、楽天に拾われたものの、半ばユニホームを脱ぎかけていた状態だった。そんな山崎にもう一度野球選手としての闘争心に火をつけたのが野村監督だった。
 「配球を読んでヤマを張れ」。プロ20年目になろうかという選手が初めて根拠のあるバッティングに目覚めると、07年本塁打王としてよみがえった。「監督は純粋に野球をやりたいだけ。だからできるだけ長くやらせてあげたい」と山崎は感慨深げに話した。
 結果を言えば、札幌で日本ハムに敗れ、仙台には凱旋できなかったが、本拠地での野村監督の最終戦は岩隈久志投手と並ぶ2枚看板の田中が完投し、4番が決定打を放って勝つという理想的な展開での勝利だった。

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