日めくりプロ野球 10月

【10月29日】1994年(平6) 期待されなかった助っ人コトー、長嶋巨人初V貢献も…

[ 2009年10月1日 06:00 ]

本塁打を放ちジャビット人形をスタンドに投げ入れるコトー。メジャーではカブス、ヤンキース、マリナーズなどに所属。通算569安打44本塁打、打率は2割6分だった
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 【巨人3-1西武】確かに甘いスライダーだったが、逃さずに仕留めた助っ人の方を褒めるべきだろう。日本シリーズ第6戦の8回裏、巨人のヘンリー・コトー中堅手は、西武の2番手・石井丈裕投手から左翼席へライナーで飛び込むソロ本塁打を放った。
 8回表に西武が1点差とした直後の一発。巨人にとっては貴重な、西武にとっては手痛い1点。試合の流れを決定付ける値千金弾で完投目前の巨人・槙原寛己投手は最終回も攻めの投球ができ、83年の初対決以来4度目の対戦でジャイアンツは初めてライオンズに4勝2敗で勝って優勝。前年に復帰した長嶋茂雄監督は、前政権から数えて20年に初の日本一となった。

 「メジャー・リーグのプレーオフよりも興奮した。永遠に忘れられない日になった」とヒーローのコトー。きっかけをつかんだのは前日第5戦の4打席目、巨人3点リードの場面で鹿取義隆投手から打ったダメ押しの2点本塁打だった。
 それまで1割台をさまよっていた、大試合で“使えない害人”は、苦手の右サイドの鹿取義隆投手から打った一発で遅ればせながらエンジン全開。第6戦の2回もカウント2-0から右翼線へ痛打を放った。大塚光二右翼手がもたつく間に、コトーはヘルメットを飛ばして三塁まで達した。3日に1度の割合で剃り、オリーブオイルを塗って手入れをしている自慢のスキンヘッドがカクテル光線に当たって誇らしげに光った。
 続く6番岸川勝也左翼手の犠飛で生還。これまで何度も悔しい思いをさせられてきた工藤公康投手から鮮やかに先制点を奪ってみせた。先制アシストに試合を決めるホームラン。シリーズの打率は2割8分6厘も勝負の分かれ目で打った2本塁打3打点でシリーズ優秀選手賞を獲得した。
 長嶋監督は「予想外のことばかり起こるシリーズだった」と振り返ったが、サウスポーに強い“左殺し”要員だったのが、気がつけば2本塁打は右投手から打ったことが指揮官にはにわかに信じられなかったのだ。
 下馬評も西武有利だったにもかかわらず、日本一をつかみ取った巨人。リーグ制覇も伝説の「10・8」を経て、日本一にいたる道のりは奇想天外の連続だった。
 シリーズ制覇の立役者コトーもシーズン打率2割5分1厘、18本塁打、52打点。元メジャー選手ということを考えれば、物足りない数字だった。確かに最後は大活躍だったが、来シーズンの構想では解雇か残留か微妙な立場に立たされていた。
 「日本で1年でも長くプレーしたい。ここを野球人生の最後の場所にしたい」というコトーの姿勢に“甘えた”巨人は新外国人が見つかれば解雇、めぼしい選手がいなければ残留というスタンスを取った。
 答えが出たのは1月。巨人は新外国人シェーン・マック外野手を獲得。コトーの日本でのキャリアは1年で終わったが、あのスキンヘッドとチョビヒゲのトレードマークを今でも忘れないファンは多い。
 

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