日めくりプロ野球 10月

【10月11日】2004年(平16) 復活プレーオフ 脇役の活躍で“優勝”した2位西武

[ 2009年10月1日 06:00 ]

90年ドラフト3位で入団も初本塁打まで10年かかった犬伏。03年には主に代打と左投手用のDHで3割7厘をマーク。このプレーオフがの翌年に引退した
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 【西武4-3ダイエー】代打の鉄則は“初球から思い切って振っていく”こと。西武・柴田博之外野手に代わって登場した14年目のベテラン犬伏稔昌捕手は当然それを心得ていた。
 延長10回1死一、三塁。ダイエー・三瀬幸司投手の外角低め直球を強振した打球はセンターへのライナー。柴原洋中堅手が捕球するも、三塁走者の高波文一外野手は悠々と生還した。

 待望の勝ち越し点。ようやく見えてきた11日間、計8試合戦った先にある栄光のゴール。悲鳴にも似たホークスファンの失望の声が響き渡る福岡ドームで、獅子たちは小躍りして貴重な1点を喜んだ。
 その裏、リリーフに立った石井貴投手が敬遠で歩かせたフレオ・ズレータ内野手を出塁させたものの、鳥越裕介三塁手を二ゴロに打ち取りゲームセット。静まり返る8割以上の観客と対照的に一部のライオンズファンと西武ナインはみな両腕を高々と上げ、喜びを爆発させた。形を変えて22年ぶりに復活したパ・リーグプレーオフは、レギュラーシーズン2位の西武が、4・5差をつけて2連覇だったはずの1位ダイエーを3勝2敗で退け、前身の西鉄時代を含め2年ぶり20度目の“優勝”を決めた。
 4度宙に舞った就任1年目の伊東勤監督。子供のようにはしゃぎ回る選手をやさしい眼差しで見つめながら、指揮官は思っていた。「こういう試合がしたかった。1年かけて本当にチームになった」。
 若手の台頭ですっかり出番が減たベテラン右打者の今季出場はわずか8試合。それでもレギュラーだけで勝ってきたチームでなかったから、犬伏をピンチヒッターを送ることに伊東監督のためらいはなかった。
 かつて「左殺し」といわれた男も1打席に懸ける執念の火はまだ消えていなかった。“出番は来る”と踏んだ9回、ベンチ裏で背番号64は「猛犬注意」のステッカーを貼ったヘルメットをかぶり、黙々とバットを振っていた。“その時”がやって来ても慌てず騒がず、難なくひと振りできっちり仕事を果たした。レギュラー以上の集中力。まさにプロフェッショナルだった。
 6回に一時逆転となる左翼フェンス直撃の二塁打を放ったのも代打・石井義人内野手。横浜から移籍2年目。腰痛と慣れないパ・リーグの投手に苦しめられ、2年目は2軍スタート。それでも勝負強いバッティングでシーズン途中から1軍に定着。シーズン中、3割7厘で得点圏打率リーグトップのの貝塚政秀一塁手に代えてのまで使った伊東監督の期待に応えた。
 中3日で先発し6回を1失点に抑えた松坂大輔投手の奮投もかすんでしまうほど、脇役が引き寄せた優勝。「プロに入って一番感動した。みんなすごすぎます」。松坂が満面の笑みで答えた。新生ライオンズの野球は日本シリーズでも変わらず、中日との激戦を制し、92年以来12年ぶりに王者ライオンズが雄叫びを上げた。

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