日めくりプロ野球 10月

【10月2日】1993年(平5) ブーマー切って入れたが…マジメ助っ人53打席音なしの新記録

[ 2008年9月30日 06:00 ]

不名誉な記録を残して2年で退団したトーベ。性格はまじめでウエートトレなどは積極的にやっていたが、2年目は結果が残せなかったのは残念
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 【オリックス6-4日本ハム】「また、ダメだ…」。オリックス-日本ハム25回戦の4回、平凡な左飛が気持ちよく晴れ渡った神戸の秋空に上がると、オリックスの背番号5は深いため息をついた。945グラムのバットからは一向に快音が聞こえず、ついに53打席連続無安打。ケルビン・トーベ一塁手はベンチに戻ると、頭を抱えてしばらく動かなかった。

 投手では2シーズン90打席に渡って無安打だった嵯峨健四郎(東映)の記録があるが、打者としては1959年(昭34)に西鉄・河合保彦捕手が記録した52打席がこれまでのワースト。トーベは34年ぶりにありがたくない新記録をマークしてしまった。
 久々の1軍だった。9月1日、ダイエー23回戦で51打席連続無安打となりファーム落ちして以来。1カ月ぶりの復帰は不名誉な記録をストップさせるチャンスとともに来季の残留をかけての最終試験だった。ところが結果は三飛に左飛。ワースト記録まで更新と、もう後はなかった。
 54に記録が伸びるかどうかの第3打席は好機で回ってきた。5回、二死満塁で打席に入ったトーベは日本ハム・有倉雅史投手からライナーの右前適時打。不名誉な記録はストップし、気を良くした第4打席は右翼線に二塁打を放った。「ようやく打てた。これからもベストを尽くすよ。長く日本でやりたいから」と吹っ切れたような表情を見せ、得意の“追い上げのケルビン”の本領発揮かと思われた。
 92年、長年チームを引っ張ってきたブーマー・ウェルズ内野手との契約を見送り、ニューヨーク・メッツに在籍していたトーベを球団は獲得した。81年にツインズのドラフト2位選手で、メジャーでの実績はさほどでもなかったが、3Aでは3割以上のアベレージを残し、来日前の評価は高かった。
 しかし、フタを開けてみると速球には詰まり、変化球への対応も粗かった。期待は大きくはずれ、7月終了時点で打率は2割3分5厘、本塁打3と解雇は決定的だった。
 それを残留へと逆転したのは8月。突然変異したかのように打ちまくり、月間打率は3割8分8厘。4本塁打21打点でなんとパ・リーグの月間MVPに輝いた。「来日した当初はどうなるかと思ったけど、日本の野球に慣れてきたようだね。とにんく練習熱心だ。どんなに疲れていても手を抜かない」。教え魔の山内一弘ヘッドコーチも舌を巻く取り組みで、崖っぷちから息を吹き返した。結局、シーズン最終戦のロッテ26回戦(千葉マリン)で1番打者で5打席立ち、規定打席ギリギリの403に到達。打率3割5厘で、首位打者のダイエー・佐々木誠外野手に次ぐ打撃成績2位になり、一転残留を勝ち取った。
 2年目も長い眠りから目覚めて、これから“残留デモ”かと思いきや、そうもいかなかった。10月14日の西武との最終戦は2三振。打率2割3分2厘ではどうにもならず、土井正三監督から仰木彬監督への交代など、首脳陣が入れ替わったブルーウェーブはトーベを解雇。帰国後もユニホームを着たという話は聞いていない。

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