日めくりプロ野球 9月

【9月23日】1977年(昭52) 広島・高橋里志9年目の初完封 感謝の巨人 V2達成

[ 2010年9月1日 06:00 ]

 【広島7―0ヤクルト】危なげない投球というのはまさにこのことだった。広島のプロ9年目右腕、高橋里志投手が広島市民球場のヤクルト24回戦で散発4安打の好投をみせ完封勝利を挙げた。
 最多勝のタイトルに大きく前進したシーズン17個目の白星は記念すべきプロ初完封勝利。抜群の制球力、特にフォーク、シュートのコントロールが良く、ヤクルト打線に凡打の山を築かせた。

 「いつかは…と思っていたが、とても嬉しい。打線が援護してくれたので心強かった」。感慨無量の高橋はシャットアウトの余韻に浸りながらヒーローインタビューを受けた。
 試合が終了した午後9時23分、広島から約700キロ離れた東京・後楽園球場。無人のスタンドをバックに巨人・長嶋茂雄監督の胴上げが始まった。2位ヤクルトが広島に敗れたため、マジック1の巨人の2年連続優勝が決まった。試合予定がなかった巨人ナインは球場内のサロンに集合。ラジオ中継で広島の様子をチェックし、ユニホームに着替えてその瞬間を待った。
 巨人の優勝をアシストした形となった高橋の完封劇だったが、5位の広島にとっては苦労人の快挙の方が喜ばしかった。68年、福井・敦賀工高から南海にドラフト4位で入団。入団4年目の71年9月23日、近鉄19回戦(大阪)でプロ初勝利をマークしたものの、野村克也監督との折り合いが悪く、72年オフに自由契約となった。
 1年間定職に就かず、途方に暮れていた高橋を救ったのが広島・古葉竹識監督だった。74年、南海のコーチから古巣広島の守備走塁コーチになった古葉が高橋を誘い、まず打撃投手として契約。シーズン中に選手登録され、76年には途中から先発ローテーション入りし8勝。9年目の初完投勝利は巨人戦だった。
 初完封勝利を記録したこの77年、広島の公式戦最終戦となった10月16日の大洋戦で20勝に到達。最多勝のタイトルに花を添えた。「何度もユニホームを脱ごうかと思ったが、南海を見返してやりたいというその一心でやってきた。オレみたいな投手でもやり方次第で20も勝てるんだということを証明できたのが嬉しい」と高橋。フォークに加え、チェンジアップを完璧にマスターしたことで投球に幅ができたのが飛躍の大きな要因だった。
 広島では78年の10勝を最後に年々勝ち星が減り、81年に日本ハムへトレード。翌82年8月4日、近鉄後期4回戦で5年前のヤクルト戦以来の完封勝ちを挙げると、久しぶりに8勝をマーク。先発にリリーフにと活躍し、防御率1・84で2つ目のタイトルホルダーとなった。
 気性の激しい投手で、広島、日本ハムでは江夏豊投手との一触即発の“仲”が取り沙汰されたこともあったが、一度クビを宣告されながら18年の現役生活を送った息の長い投手だった。

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