日めくりプロ野球 9月

【9月15日】2004年(平16) 再編真っただ中 楽天 球界参入へ

[ 2010年9月1日 06:00 ]

 セパ12球団維持へ、業績が右肩上がりの新興企業が手を挙げた。インターネット商取引大手「楽天」が新球団の経営母体となる会社を設立、プロ野球に参入することを正式に検討し始めた。
 マスコミ各社の取材に楽天広報部は「まだ具体的内容は決まっていないが、参入について本格的に検討を始めた」と同社の三木谷浩史社長の言葉を代弁するかのようにはっきりと答えた。

 6月末に起きたオリックスと近鉄の合併に端を発した球界再編問題。選手会が断固反対、ストライキも辞さずと強硬姿勢に出ても、パ・リーグの5球団制は大きな流れとなっていた。
 そこへ堀江貴文社長(当時)率いる楽天と同業種の「ライブドア」が近鉄球団買収を打ち出すなど、加盟申請をする方向で動いていたが、すでに同年1月にサッカーJリーグのヴィッセル神戸を買収、経営に当たったというスポーツ界での実績があった楽天の参入表明は、閉鎖的なプロ野球界にも好意的に受け止められた。
 そのわずか1カ月前、三木谷社長は決算説明会の席上「球団経営はおそらく大変であろうし、そのための時間が取れない。球界参入はありません」と断言していた。それが突然とも言える180度の方向転換。「プロ野球に新風を吹き込みたい」と三木谷社長は正式に参入を表明した時にその理由を口にしたが、楽天は球界再編問題が浮上した時から水面下で球団経営について研究を続けていた。
 最大の問題は資金だった。楽天は04年度6月の中間連結決算で経常利益が前年の約4・3倍を記録するなど、年々業績を伸ばしていたが、40億円の赤字が出るといわれる球団経営は、宣伝広告費と位置付けたとしてもやはり難しかった。
 ところがこれまで安易に球団経営が新規の企業にできないようにと定めていた加盟料60億円などの条項が撤廃される方向になると、風向きが変わった。ネットの世界では有名でも、一般的にはまだまだ知名度が低かった楽天が全国の老若男女に知ってもらうためにも、プロ野球参入は魅力的だった。「スピード、スピード、スピード!他社が1年でやるところをウチは1カ月でやる」と公言していた三木谷社長は決断した。
 9月24日の参入申請時にはトヨタ自動車の奥田碩会長、三井住友銀行頭取ら経済界のトップが球団運営会社の助言メンバーに名を連ね、39歳という若さながらその実力を見せつけたと思いきや、当初は神戸としていた本拠地も在阪球団からの反発を食らうと、けんかをせず、プロ球団がない東北地方の最大都市・仙台にフランチャイズを置くことを決定。決断の速さはまさに“風雲児”という言葉がピッタリだった。
 阪神で大活躍したランディ・バース一塁手らビッグネームが監督候補で名前が上がるなど話題に事欠かず、栄養費問題で明大野球部を追われたこの年のドラフトの目玉、一場靖史投手を加盟決定10分後に尋ねるなど、まさに電光石火の動きを見せた。改革が進まない球界に、楽天が瞬間最大風速級の驚きを与えたことは間違いなかった。
 球団創立4年目に2代目指揮官、野村克也監督の下で初のクライマックスシリーズに進出するなど、順調にきていたチーム作りだが10年は3年ぶりの最下位に沈んだまま。どうもチーム作りは「「スピード、スピード、スピード!」とはいかないようだ。

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