日めくりプロ野球 9月

【9月6日】2008年(平20) 攻めてド真ん中にストレート!由規 巨人相手に初勝利

[ 2010年9月1日 06:00 ]

 【ヤクルト7―4巨人】自分の真っ直ぐを信じて腕を振って重量打線に立ち向かった。1週間前の初登板は、1回3分の2で6失点。四球を連発した挙句痛打された二の舞は踏むまい。ヤクルトの新人右腕、(佐藤)由規投手は2試合目の先発となった神宮での巨人19回戦で6回2安打3失点。打線の援護をバックにプロ初勝利をマークした。

 「逃げたらやられる。開き直るというか、攻めることを目標に投げ続けた」。背番号11が投げた99球のテーマがその言葉にあった。三振の取れる高速スライダーもあったが、この日は直球主体。ホームラン打者が多い巨人相手に、高さ、コースとも一歩間違えばスタンドまで運ばれる危険性は十二分にあったが、最速157キロのストレートを信じて、低めに投げることだけを心に決めてマウンドに立った。
 決意は投球に表れた。初回、3番小笠原道大一塁手を151キロの外角直球で空振り三振に仕留めた。4回、2度目の対戦でも真っ直ぐ勝負。148キロの力のある球に小笠原のバットも空を切り、2打席連続三振に。気が付けば4回までパーフェクトピッチングを展開した。
 5回1死後、5番高橋由伸右翼手に打たれた初安打は、左翼席に飛び込む16号弾。無我夢中で投げてきた、高校を卒業したての右腕はふと我に返り、プロの恐ろしさを実感した。
 6回、宮城・仙台育英高時代に対戦した、8番坂本勇人遊撃手を四球で歩かせると、悪癖が顔をのぞかせた。セットポジションになると走者を気にして、投球フォームのバランスを崩すと、さらに1安打2四死球を与え、押し出しと犠飛で同点に追いつかれた。対巨人の8連敗中のチームの救世主になるはずが、試合を振り出しに戻してしまった。
 自分の白星どころか、チームの勝ちも消えてしまいそうな展開を救ったのが、女房役の福川将和捕手だった。先制点が入った2回、福川の6号2点弾でさらに追加点を挙げたが、同点の直後の6回、再度内海哲也投手から左翼へ決勝の3点本塁打をぶち込んだ。同点で消えかかったプロ初勝利の権利がよみがえり、後は3人の投手をつないで逃げ切った。
 幸運にも恵まれたが、“泣き虫由規”の初勝利に涙はなかった。「めちゃくちゃ嬉しいです」と笑顔がはじけた。ドラフト制以後、巨人戦でプロ初勝利を挙げたのは89年の川崎憲次郎、03年の高井雄平投手、そして由規と3人目。加えて、デビュー2戦目での勝利は67年の浅野啓司投手の3試合目を抜く最速勝利となった。
 3年目の2010年、2ケタ勝利をマーク。160キロを超える球速がクローズアップされるが、投げてみないと分からない不安定な立ち上がりや詰めの甘さなど、まだ投球に“若さ”が顔をのぞかせる。プロ野球を代表する投手になる下地は十分。さらなる飛躍をファンは待っている。

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