日めくりプロ野球 9月

【9月8日】1999年(平11) 秋山顔面、松坂突然、東尾激怒、浜名代打で!そして…

[ 2009年9月1日 06:00 ]

サヨナラ満塁弾を放った井口(右)はオールリリーフで10連勝となった篠原を手荒く祝福した
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 【ダイエー7-3西武】3時間45分の大熱戦。4万8000人の観衆は次から次へと目の前で起こる信じられないようなプレーに息をのみ、悲鳴を上げ、そして歓喜を爆発させた。
 首位ダイエーを1・5差で追うパ・リーグ3連覇を狙う2位西武は5日の近鉄戦で先発登板から中2日で投げたルーキー松坂大輔投手を再度中2日で先発に立て、必勝の信念でホークスに挑戦。初回、ダイエーは5番城島健司捕手の適時打で先制して早くも戦端を開くと、試合は荒れ模様の様相を呈してきた。

 2回、福岡ドームが一瞬静まり返った。ダイエーの1番秋山幸二右翼手への4球目、松坂の144キロのストレートが左のほおに直撃した。倒れて微動だにしない秋山。直ちに病院へ運ばれ、検査を受けた結果、左頬骨骨折で全治2~3週間と診断された。
 それでもダイエー悲願の初Vがかかる大事な一戦に、秋山はベッドに横たわってはいられなかった。病院を抜け出し、ドームに戻り同僚ナインを応援した。「痛いけれど野球はできる」と、翌日以降の強行出場を直訴した。
 7回に1点リードを奪われたダイエー。しかし、ここで西武にアクシデントが発生した。7回裏、2死一塁で6番松中信彦一塁手に2球目を投げた松坂の左でん部に激痛が走った。
 先発、リリーフ、先発と初めての週3度の過酷な登板。「初回から全力で行け、と行った。飛ばしすぎた影響が出たかもしれない」と杉本正投手コーチ。勝利への執念を燃やす東尾修監督の最近のプロ野球では見られなくなったエースの連投だったが、この日の125球目でパンクした。味方攻撃中にベンチ前でキャッチボールをしている時から毎回右足の太ももの内側のあたりを気にしていた松坂。体重が乗る右足をかばっているうちに左足にも負担がかかり、ついに限界に達してしまった。
 そして流れが完全にダイエーに行ったのは、8回1死一塁でダイエー・柴原洋右翼手のプッシュバントだった。ゴロを処理しようとした高木浩之二塁手と一塁走者の村松有人中堅手が交錯。一塁への送球が乱れ、オールセーフとなった。これに東尾監督が守備妨害を主張して判定した丹波幸一一塁塁審に猛抗議。「お前が一番近くで見ていたんだろうが!」と今にも殴らんばかりの形相で食ってかかった。
 判定は覆らず、異様な興奮状態の中で1死一、三塁から試合再開。1点を追うダイエー王貞治監督が勝利に向かって手を打った。2番柳田聖人二塁手に代打浜名千広内野手を起用。スクイズが考えられる場面でバントの名手にピンチヒッターを送った時点で、強攻策と誰もが思った瞬間、浜名がカウント0-2からスクイズ。見事に成功させ、ダイエーは試合をふり出しに戻し、松坂の15勝目は消えた。
 こうなると押せ押せだ。9回、2死満塁。8番井口忠仁遊撃手に王監督は次打者の村松を通じてアドバイスを送った。「トスバッティングのつもりで強振するな」。力んでいた井口がこれで楽になった。カウント1-2から西崎幸広投手のストレートをミートした打球は、バックスクリーン右に着弾した。サヨナラ満塁本塁打。ここからは誰が何を言っても歓声でかき消されてしまうほどの大騒ぎになった。
 リリーフの篠原貴行投手が投げた試合でのサヨナラゲームはこれで5試合目。篠原はリリーフだけで無傷の10連勝となるプロ野球新記録も達成。西武に引導を渡したダイエーは、9月25日球団創設11年目、前身の南海から数えると26年ぶりの優勝を果たした。

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