日めくりプロ野球 9月

【9月7日】2006年(平18) こんなことって…佐伯貴弘“初体験”のサヨナラ勝ち

[ 2009年9月1日 06:00 ]

思わぬサヨナラ勝ちとなり、バットを持ったまま佐伯は大喜び。横浜ナインも笑いが止まらなかった
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 【横浜6-5広島】同点の延長10回裏、2死満塁。絶好のサヨナラのチャンスに、横浜・佐伯貴弘一塁手はカウント1-2から、広島・永川勝浩投手のストレートを強振した。
 ファウルになったが、佐伯の体に伝わるバットからの感触に違和感があった。ボール以外の何かがバットに当たったような感触に佐伯は即座に吉本文弘球審にアピールした。「キャッチャーミットが(バットに)当たった」。吉本球審の両腕が上がり、右手で左手の甲を軽く叩いた。キョトンとする広島・石原慶幸捕手の耳に入ったのは、吉本球審の「打撃妨害」を宣告する声だった。

 バットを持ったまま大喜びで一塁へ向かう佐伯。押し出しの形で三塁走者の藤田一也二塁手が手を叩きながら生還。横浜の前身・大洋ホエールズ誕生の地、下関で世にも珍しい打撃妨害によるサヨナラ勝ちで、横浜は連敗を7でストップさせた。
 「僕自身初めての経験。でもちょっと驚いたね。勝ちたいという強い気持ちがこういう結果になったのかな。牛島監督にもうひと花咲かせようとみんな思っているから」と佐伯。牛島和彦監督の電撃退団が発表されて以来勝がなかった横浜が、フロントとの考え方の不一致で辞めざるをえなくなった指揮官の無念さを少しでも晴らせれば、との思いで勝ち取ったサヨナラ勝ちでもあった。
 負けた広島はただぼう然とするのみ。「20年以上野球を見続けてきて初めて。起こってはいけない、やってはいけないことだ」とマーティ・ブラウン監督は中盤まで3点リードしていた試合を落とし不機嫌そのもの。打撃妨害は記録として捕手の失策がつく。その“戦犯”石原は「今までやったことがない。申し訳ない。後はちょっと…」と憔悴しきった表情で球場を後にした。
 打撃妨害が絡んだサヨナラ勝ちは記録に残っているだけでもこの日の横浜を含めて3例ある。
 64年(昭39)8月22日、東京(現ロッテ)-阪急21回戦(東京)の延長12回、東京は2死満塁で代打岩本進内野手のカウント2-1の時、三塁走者の大坂雅彦外野手が本盗を試みスタート、岩本はファウルを打ったが、この時に阪急・住吉重信捕手のミットがバットに触れ道仏訓球審は打撃妨害を宣告、東京がサヨナラ勝ちを収めた。ホームスチールを察知した住吉が早く捕球しようと焦ったために、ミットが先に出てしまった結果だった。
 セ・リーグでは75年(昭50)9月15日、阪神-大洋26回戦=最終戦(甲子園)で起きた。延長12回、阪神は2死三塁で打者池辺巌中堅手の時に、三塁走者の末永正昭外野手がホームスチールを敢行。大洋・福島久晃捕手がホームベースに体を乗り出して捕球し、池辺の打撃を邪魔した。福井宏球審は池辺への福島の打撃妨害があったとした上で、末永の生還を認めた。打撃妨害の前に、三塁走者がスタートしたのを見た小谷正勝投手が慌てて本塁へ送球したのがボークと判定されたため、末永の生還が許されたのだった。
 小谷がプレートを外して福島に送球していれば、福島が本塁の前に出て捕球することは差し支えなかったが、セットポジションをとりながら静止せずに投げたためボークとなり、おまけに打撃妨害もとられるという草野球のような結末だった。

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