日めくりプロ野球 9月

【9月27日】2007年(平19) 3年目にして初!楽天“いいとこ取り”のチームに勝ち越し!

[ 2008年9月26日 06:00 ]

08年の後半は失速した楽天だが、9月23日には西武の胴上げを目の前で許さなかった意地をみせた。野村監督(右から2人目)も手応えを感じつつあるようだ
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 【楽天7-4オリックス】楽天・小山伸一郎投手がオリックスの2番・村松有人左翼手を遊ゴロに打ち取ると、スカイマークスタジアムのレフトスタンドに陣取ったイーグルスファンから大きな歓声が上がった。オリックスとのシーズン最終戦。3番・草野大輔三塁手の4安打をはじめ、13安打を放って終盤4点を奪い見事な逆転勝ち。対戦成績は楽天の12勝11敗1分となり、このカード勝ち越しを決めた。

 過去2年、楽天はパ・リーグ全球団負け越しの最下位。ようやく3年目にして、白星先行で終えた初の相手がオリックスだった。近鉄がオリックスと合併し、新球団の楽天と分配ドラフトを行ったが、レギュラークラスの選手はほとんどオリックスに。いわば“いいとこ取り”をしたのは、オリックスだったが、短期間で立場は逆転した。
 初の勝ち越しに野村克也監督は「そういうのは逆に寂しい」と苦笑。これで順位も4位に浮上。「チームの目標は最下位脱出や。目標はちっちゃいけれど、大きな一歩だ。何せゼロからの出発だったんだから」と自ら言い聞かせるように話した。
 9月29日には、これも敵地福岡ヤフードームでソフトバンクに7-3で勝ち、これまた勝ち越しを決定。最終的に14勝10敗と堂々の成績で、オリックス、西武より上の4位に。悲願の最下位脱出に成功した。ソフトバンクは優勝した日本ハムには14勝9敗1分と勝ち越しており、2位ロッテにも10勝12敗2分とほぼ互角だったが、楽天戦の4つの負け越しが響き、リーグ優勝を飾れなかった。
 ゴールデンルーキーの田中将大投手をはじめ、同じくルーキーの永井怜投手ら新人や若手の投手が台頭し、野村監督が最も重要視する捕手に新人の嶋基宏を積極的に起用して、そろそろ10年選手になろうかという藤井彰人捕手を刺激。内野にも草野や渡辺直人らを使い、プロ野球に“染まっていない”実績のない若手をイロハのイから教授し鍛えていった。“野村再生工場”の本領を発揮しベテラン山崎武司内野手を復活させ、本塁打キングとして返り咲かせたことは、最下位脱出を目指すチームをより勢いづかせた。
 球団創設当初は一部の選手を除いて、とても1軍で試合のできるレベルではなかった。田尾安志監督から野村監督に代わった06年、指揮官は成績よりもチーム内をよく観察することに主眼を置いた。そして2年目「弱者がいかにして強い相手を倒すか」をテーマに戦いを進めた。スコアラーが綿密に集めた対戦相手のデータを基に、相手投手の配球、ポジショニングなどを徹底的に分析。ディフェンスでも当然攻撃と裏返しのことを細かくやった。
 野球のセオリーを軸に、時には相手が思いもつかない揺さぶりを仕掛けたのも野村楽天の特徴だった。あるレギュラー選手は真顔で言った。「当たり前だと思っていたことを当たり前にできていないことが分かった。野球とはこうやってやるものなのかということが少しずつだが分かってきた」。プロ選手とは思えぬような発言だが、野村監督はただ打った投げた走ったの野球ではなく「1つ1つのプレーに意図がある、説明のできる野球」をチーム内に徐々にだが広まっていった。1点差ゲームの勝敗が22勝12敗という数字はまさに野村が目指す1点を守る野球がチームに浸透していったことを示すものだった。
 08年前半はAクラス争いに顔を出すも、夏場以降は失速した楽天。クライマックスシリーズ進出は来年以降のお楽しみとなったが、勇退するソフトバンク・王貞治監督言う。「楽天はノムさんになって、しっかりしたチームの方向性を感じられるようになった。これで1年を通して戦える力が付いたらかなり手ごわい」。野村監督の留任も決まった。球団創設5年目の09年は勝負の年である。

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