日めくりプロ野球 9月

【9月21日】2006年(平18) 落合監督、警察で真夜中の“事情聴取”大逆転勝利のウラで…

[ 2008年9月18日 06:00 ]

横浜に逆転勝ちしスタジアムを後にする中日・落合博満監督と信子夫人。しかし、この時愛用のバッグが盗難に遭い心中穏やかではなかった
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 【中日9-7横浜】横浜中華街近くにある神奈川県警加賀町署を出たのは、午前3時を過ぎていた。前夜の20日、横浜スタジアムでの横浜-中日16回戦に9回逆転勝ちを収めたのも忘れてしまうくらい、中日・落合博満監督は大きなショックを受けていた。
 三塁側の監督室にあった愛用の高級ブランド「ダンヒル」の手提げバックがこつ然と消えてなくなったのだ。通報を受けた加賀町署は直ちに現場検証を行い監督室などから指紋を採取。一度東京都内の自宅に帰っていた落合監督だが、警察で事情説明するため、午前1時に加賀町署へ出頭していた。

 バッグは04年、セ・リーグ優勝時に信子夫人からプレゼントされたもの。長男から父の日にプレゼントされた財布や時計のほかに保険証、運転免許証を入れてあった。「5回まではあったんだ。監督室は出入りできる人間が限られている場所だろ」と落合監督。監督室の入り口にはアルバイトの警備員が立ち、一部の限られたパスを持った人間しか入ることが出来ない。窃盗犯が侵入したとすれば、パスを偽造して入ったのか、警備員はドアの前に常駐しているが、何らかの理由で目を離していたそのスキになのか…。
 7回以降7点を奪った強竜打線が火を噴き、「優勝する時こういうゲームもあるよ」と、初めて指揮官が優勝の二文字を口にした、会心のゲームのその裏では想像だにしないことが起こっていた。まさに好事魔多しである。
 バッグ以上に落合監督と夫人がその行方を気にしていたのがお守りだった。ロッテ入団時の78年から肌身離さず落合監督が持っていたもの。銀の円柱形のケースに入っており、夫人は当然、長男も誕生した時から持っている家族お揃いのアイテムだった。3度の3冠王、監督としての優勝など、数々の栄光を支えてきただけでなく、揃いのものを見につけることによって、家族の絆を確かめてもきた。「現金(37万円)はもういい。お守りだけでも戻ってきてほしい」と、盗難事件の翌21日も点灯している優勝へのマジック13よりも気がかりな様子だった。
 落ち込む落合を少しでも元気にしようと、試合が組まれていなかった21日に夫人と長男は映画に誘った。その帰り道、初めて3人でプリクラを撮った。その写真シールに長男は文字を刻んだ。「優勝」と…。
 以後、落合のお守りはこのプリクラとなり、中日は2年ぶりの優勝を勝ち取った。盗難に遭ったバックなどはいまだに見つかっていないが、この写真シールの存在は孤独な戦いを強いられる監督の心の支えになったのは間違いない。

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