日めくりプロ野球 9月

【9月17日】2005年(平17) ロッテ新人投手55年ぶり快挙!エースは言った「狙って勝て」

[ 2008年9月15日 06:00 ]

完封勝利で10勝目をマークしたロッテ・久保康友投手(右)は、好リードの橋本将捕手と勝利のハイタッチ
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 【ロッテ6-0西武】2ケタ勝利目前のロッテの新人久保康友投手は、西武19回戦(千葉マリン)の試合前、エースの清水直行投手からこんなことを言われた。「10勝目は狙って勝て!淡々と投げるのもお前らしくて悪くないが、どうしても勝たなければいけない試合もある。それが今日だ。いいか必死に投げろ」。
 ソフトバンクとともに、すでにプレーオフ進出を決めていたロッテ。残り10試合を調整と見る向きもあったが、相手はプレーオフ最後の1席を目指して死闘を繰り広げているライオンズ。“眼下の敵”をここで倒しておかなければ、短期決戦で足をすくわれる可能性がある。清水の助言は久保の10勝目はもとより、チームとして危険要素を少しでも排除することの重要性を意味していた。

 初回、いきなり一死満塁のピンチを迎えた久保。気合いが空回りして球が高めに浮いた。淡々と投げるタイプのルーキーだが、エースの“至上命令”通り、闘志むき出しにインコースを攻めた。気迫に押されたように5番・和田一浩左翼手は三塁ゴロの併殺打。いつもと違う久保の後姿をバックは見ていた。初回から打線がエンジン全開で3点を先取し援護。これでチームも久保も乗った。
 9回、無死一、二塁。久保は4番のアレックス・カブレラ一塁手と対戦。ここでも内側をえぐった。際どいボールに苛立ちを露にしたカブレラは久保をにらめつけ、威嚇した。それでもひるまなかった。カウント2-1。有利だったこともあっただろう。橋本将捕手が出したサインにこの試合初めて首を横に振った。“もう1回内側行かせてください”。視線がそう訴えていた。
 インコースストレートにカブレラは力のない中飛。これで勝負は決まった。続く和田を1回と同じく併殺で仕留め5安打完封。8月3日の楽天戦以来、約1カ月半ぶりの白星で待望の10勝目をマークした。ロッテの新人投手で2ケタ勝利を記録したのは、2リーグ分裂初年の1950年(昭25)にノンプロからロッテの前身毎日オリオンズ入りした“火の玉投手”荒巻淳(26勝)と16勝した榎原好(えはら・よしみ)の両左腕以来、なんと55年ぶりの快挙。右腕としては久保が球団史上初めてだった。
 これで完封試合は3つ目。“松坂世代最後の大物”といわれ、松下電器を経て遠回りしてプロ入りした右腕は、西武・松坂大輔投手がルーキーイヤーにマークした2完封を上回り、遅まきながら“松坂超え”を果たした。
 久保は結局、10勝3敗で1年目を終え、見事新人王を獲得。ロッテの新人王は6人目だがうち投手は、50年の荒巻、74年(昭49)の三井雅晴、そして05年の久保の3人。ロッテには投手が受賞すると必ず日本一になるという最高のジンクスがあった。
 ロッテは久保を含む、渡辺俊介、小林宏之、清水直行、セラフィニの「2ケタクインテット」の好投で、プレーオフを勝ち抜き、阪神との日本シリーズは4勝0敗。新人王のジンクス通りに74年以来31年ぶりの3回目のチャンピオンの座に付いた。4度目の受賞はいつになるのか、興味津々である。

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