日めくりプロ野球 8月

【8月24日】1997年(平9) 応援やめたら46年ぶりの大逆転 近鉄10点差いてまった!

[ 2010年8月1日 06:00 ]

 【近鉄11―10ロッテ】プロ野球で逆転可能な点差は何点なのだろうか。現時点での答えは「10点」だ。
大阪ドームでの近鉄―ロッテ22回戦は、初回と2回に5点ずつを挙げたロッテの楽勝ムード。この試合を落とせば、最下位に転落する近鉄のあまりにも覇気の感じられない立ち上がりに、右翼スタンドに陣取った私設応援団はついに決断した。

 試合開始前から「豪打 いてまえ猛牛打線」の横断幕を逆さに掲げて奮起を促していたが、打線が爆発する前に投手陣が試合を壊したことで笛や太鼓、トランペットの応援をピタリと止めたのだ。「本当はこんなことしたくなかった。でも、この状況で選手に何かを考えてもらいたかった」。応援をリードする若者は半ば泣きそうな顔で訴えた。
 ボールがミットやグラブに収まる音とバットから白球が弾かれる音だけになったドーム球場はとても静かだった。しかし、その静寂もつかの間。2回まで11安打を放ったロッテ打線を近鉄3番手の柴田佳主也投手が3者凡退に抑え、試合が落ち着くと、いてまえ打線の意地が爆発し始めた。
 3回、1番村上嵩幸中堅手がロッテ先発の園川一美投手から本塁打を放つと、4回にも指名打者のフィル・クラーク内野手も左中間へ17号ソロ。ジリジリ火がつき出すと、5回には4安打で5点を奪い園川をKO。4点差まで追い上げた。
 それでも近鉄応援席はまだ沈黙を続けた。それならばと、猛牛軍団はさらに暴れ、7回に3連打などで3点を追加。ついに1点差にすると、じっとしていられなくなったバファローズファンは8回から応援を再開。1点差のまま迎えた9回、1死二塁で佐々木恭介監督は仕掛けた。
 二塁走者の俊足、武藤孝司遊撃手が三盗を試みると、焦った吉鶴憲治捕手が悪送球。土壇場も土壇場、9回裏で0―10の試合を振り出しに戻した。
 そして延長12回、2死満塁から反撃ののろしとなる2点目の本塁打を放ったクラークが吉田篤史投手から中前打を放ち、サヨナラ勝ち。三塁走者はなんと入来智投手。四球で出塁した42歳の山本和範外野手よりは足が速いということで起用されていた。もうベンチに野手は残っていなかったのである。
 総力戦を制した佐々木監督は「いや~、9―10で負けた時のコメントを考えていたんやけど、それがどうや!みんな本当に頑張ってくれた。こういう試合をみんなとできたことがワシはうれしい」と一気にまくしたてた。
 10点差ゲームを逆転したのはプロ野球史上3度目で日本タイ記録。0―10からの逆転は、1949年(昭24)10月2日、横須賀衣笠球場で行われた大陽―大映以来、なんと48年ぶり。「昭和24年といえば、オレが生まれた年やないか。運命感じるわ」と佐々木監督。最下位転落をまぬかれた近鉄は、この逆転劇で息を吹き返し、なんとかシーズン3位に入った。
 

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