日めくりプロ野球 8月

【8月19日】1999年(平11) 満塁男・駒田徳広の新記録は最後のグランドスラム

[ 2010年8月1日 06:00 ]

 【横浜4―3阪神】約3カ月近く感じていなかった感触が、満塁というこの選手の“代名詞”の場面で再びよみがえった。横浜スタジアムでの阪神22回戦、横浜・駒田徳広一塁手が初回、湯舟敏郎投手から先制となる6号満塁本塁打を右翼席中段に運んだ。

 内角高めのストレート。「いつもなら詰まってしまうコースが珍しくバットの芯に当たった。満塁本塁打?そりゃいつ打っても気持ちいいよ。まあ、ホームラン自体久しぶりだからね」。54試合も遠ざかっていた一発を通算13本目のグランドスラムで記録。しかもそり一撃でチームが勝ち、首位中日の優勝へのマジックナンバー点灯を阻止したとなれば、自然と舌も滑らかになるというもの。まだ連覇への望みが多少なりとも残されていただけに「今は勝ちを拾っていくことが大事。9月の中ごろにペナントレースを面白くできればと密かに思っている」と続けた。
 右打者としては最多の657本塁打の野村克也捕手、好機に強かった“闘将”江藤慎一外野手を上回り最多となった満塁アーチ。全体では打撃の師匠でもある巨人・王貞治元監督(99年当時、ダイエー監督)の通算15本に2本差に迫る2位になった。横浜に移籍してからは毎年となる6年連続の記録となり、プロ野球記録である広島・山本浩二外野手が80年から84年にかけて打った5年連続を超えた。
 プロ初打席の満塁弾を皮切りに“満塁男”の異名が付くほど、フルベースに強かった駒田。イメージだけでなく、ここまで通算3割5分もの満塁打率を残していた。
 が、プロ19年目は少々勝手が違っていた。湯舟から打った満塁本塁打が出るまでシーズン8打数1安打というのが、満塁での成績。「そんないつも打てるわけがないでしょ」としていたが、内心気にはしていた。「満塁=駒田のイメージ。そこで周ってきて、何もできずに凡打したら球場に足を運んでくれた横浜ファンをがっかりさせてしまう」。気をもんでいたベテランは試合前日、自宅で赤ワインのハーフボトルを開け、一人で飲み干し、気分転換を図って試合に臨んだ。
 “ワイン効果”は即表れた。シーズン“2安打”目に飛び出した最高の結果は、横浜に移ってから、毎年「期待を裏切らない」という印象を観客が再度認識した一発でもあった。
 7年連続の記録更新の年を迎えた2000年。満塁弾どころか、背番号10は2000本安打達成に汲々としていた。名球会入りは果たしたが、グランドスラムはなし。4月30日の広島戦(横浜)で、通算2000試合出場のメモリアルデーに走者一掃の二塁打を放ったのが、満塁での大きな見せ場の最後になり、駒田は同年ユニフォームを脱いだ。
 6年連続満塁ホームランは00年にオリックス・イチローが放って駒田と並び、通算13本もその後、オリックス・藤井康雄外野手、楽天・中村紀洋内野手が14本を放ち抜かれてしまった。横浜での6年連続弾が満塁男・駒田の最後のグランドスラムだったのである。

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