日めくりプロ野球 8月

【8月16日】2002年(平14) 西武 球団史上最高の逆転劇でマジック点灯

[ 2010年8月1日 06:00 ]

 【西武12―10近鉄】優勝に付きものなのが劇的勝利。それでもこんなに劇的な1勝で優勝へのマジックナンバーが点灯したことはかつてなかっただろう。
 セ・リーグで巨人・阿部慎之助捕手が月間2本目のサヨナラ本塁打を放った翌日、パ・リーグの首位を行く西武は地元で近鉄相手に大逆転勝利を収めた。「野手がつないでつないで、最後までつないでくれた。感謝、感謝です」。普段冷静な伊原春樹監督が興奮して一気にしゃべるほどの大ドンデン返しだった。

 球団史上92年以来10年ぶりの8月中のマジック点灯がかかった試合に西武はエース松坂大輔投手に託したが、あろうことかプロ入り最短タイの1回3分の2でKOされた。前回は足首の捻挫というアクシデントによるものだったが、2本塁打を含む7安打8失点で正真正銘のノックアウトだった。
 試合は3回表で0―9と西武の一方的敗戦ムード。3回裏、3連打などで西武は3点を返したが、なお6点差。3回まで10安打を放った「いてまえ打線」がおとなしくなる気配はなかった。
 流れを変えたのが4回。西武の2番手・三井浩二投手が3番タフィー・ローズ左翼手から始まるクリーンアップを3者凡退に抑え反撃のリズムを作った。
 2死一塁から1番松井稼頭央遊撃手の左前打を皮切りに、アレックス・カブレラ一塁手の37号2点弾を含む7連打でなんと10―9と逆転。中盤は中継ぎ投手陣が踏ん張り、近鉄を無得点に抑えた。
 7回に1度同点にされたが、その裏、一挙7点のビッグイニングの口火を切った松井稼が三沢興一投手から24号2点アーチを放ち、再度リード。最後はまさか前半の点差で投げると思っていなかった守護神豊田清投手が3人で終わらせゲームセット。3時間56分の激闘は西武にとって万々歳の展開で幕を閉じ、マジック34が点灯した。
 勝てる試合を落とした近鉄の足取りは重く、どの選手も無言のまま。かつてプロ野球記録タイの10点差ゲームをひっくり返したことのある猛牛軍団だったが、西武にマジック点灯まで許したショックは大きかった。
 14日のオリックス戦で退場処分を食らい、2試合指揮が執れない梨田監督は宿舎でテレビ観戦を余儀なくされていた。真弓明信コーチに代行を頼んだが「何もできないのが歯がゆい」と悔しさをあらわにした。
 一方、勝利の瞬間は興奮していた伊原監督だが、こういう時こそ手綱をしめるべく、シーズン初の全体ミーティングを召集。「勝負はゲタを履くまで分からないんだ。きょうがいい例だ、忘れるな」と戒めた。
 優勝はほぼ手中にあったが、あくまでも可能性が高いというだけで、まだ勝ったわけではない。その後も大勝におぼれなかったライオンズは8月19日から10連勝し、4年ぶりに危なげなくリーグ制覇を果たした。

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