日めくりプロ野球 8月

【8月5日】2006年(平18) 外国人初!パスクチ、代打の代打サヨナラ弾

[ 2010年8月1日 06:00 ]

 【ロッテ3―2ソフトバンク】142キロのストレート。はっきり言って振り遅れた打球だった。それでも体重113キロの巨漢がフルスイングしたボールは右翼へ舞い上がった。
 ライトスタンドのマリーンズファンが打球に向かって一斉に手招きをしたが、スタンドインを確信するとその両手はバンザイのポーズに変わった。負ければ貯金ゼロの危機を救った、ロッテのヴァル・パスクチ外野手のサヨナラ本塁打。真夏の千葉マリンスタジアムは、劇勝のシーンに酔いしれ興奮がいつまでも冷めなかった。

 ボビー・バレンタイン監督のひらめきがサヨナラを呼んだ。延長10回1死、この日1番に入り2安打の代田建紀左翼手にピンチヒッター、橋本将捕手を送った。するとソフトバンク・王貞治監督も左の篠原貴行投手を投入。一発のある橋本への警戒を怠らなかった。
 バレンタインはもう一度動いた。ヤル気満々でベンチから出てきた橋本にひと声かけて納得させると、代打の代打パスクチを佐藤純一球審に告げた。打率が2割を切るかという数字。1軍と2軍を行ったり来たりのエレベーター助っ人は、今回もベニー・アグバヤニ外野手の故障で昇格も結果は出ていなかった。それでも指揮官は賭けた。根拠は1つ。「パスクチには一発で試合を決めるだけのポテンシャルがある」。
 その予感通りのサヨナラ弾。来日2年目、通算13本目の一撃に背番号43は「サヨナラホームラン?初めてだよ。チームがいい状態ではなかったけど、出場したら貢献したいと思っていた。最高のスイングができた」。振り遅れのことは忘れたのか、それとも気にせず結果オーライなのか、米カリフォルニア州出身のイタリア系アメリカ人は何を聞かれても大笑いしながらこたえるばかり。4番手で登板した神田義英投手にルーキーイヤー以来の3年ぶりの白星が付くなど、ロッテにとってまさにびっくりすることだらけのサヨナラ勝ちだった。
 代打の代打によるサヨナラ本塁打はプロ野球史上これで4本目。初めて記録したのは南海・門田博光外野手。80年6月25日、大阪球場での日本ハム前期13回戦で桜井輝秀内野手に代わって登場。逆転サヨナラ3ランを放った。
 その後、83年9月14日に巨人・平田薫内野手、98年7月7日にオリックス・広永益隆外野手が記録したが、外国人選手としてはパスクチが初めてだった。
 調子に乗ったパスクチは8月17日のオリックス16回戦(千葉マリン)で2本塁打3打点をマーク。2週間で5本塁打を放ち、いよいよ持ち前の長打力を発揮し始めたかと思われたが、05年に続いての日本一どころか、Bクラス4位に沈んだロッテは確実性のないパスクチを解雇した。
 その名前を日本の野球ファンが久しぶりに耳にしたのが、09年のWBC。パスクチはイタリア代表の中軸打者として出場した。米マイナーリーグで2010年現在も現役を続けている。

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