日めくりプロ野球 8月

【8月29日】2006年(平18) 終電まで残ったファンに捧ぐ 清原和博新記録サヨナラ弾

[ 2009年8月1日 06:00 ]

12本目のサヨナラ本塁打を放ち、ファンの声援に応える清原
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 【オリックス8-6西武】 ここ一番の集中力は21年のプロ生活で研ぎ澄まされていった。延長11回裏、2死一塁。西武7人目の長田秀一郎投手のスライダーを逆らわずに右中間へ運んだ。
 観客がまばらになっても、オリックスの勝利と清原和博の劇的な一打を期待して残っていたファンの思いが届いたサヨナラ本塁打がスタンドではねた。

 降雨中断の1時間18分を合わせると計5時間32分に及んだ、スカイマークスタジアムでのオリックス-西武16回戦。決着をつけた清原は言った。「(最終)電車のお知らせがあったので、僕も心配になった。“はよ行かなアカン”と思った」。
 時計の針は午後11時半を回っていた。じきに電車もなくなる。子供たちは夏休みとはいえ、火曜日のナイター。大人の多くは明日も仕事が待っている。クライマックスシリーズにさえ進めないことが決まったオリックスの勝利をそれでも信じて雨の中で待ち、最後まで応援してくれたファンの気持ちに応えたい。ただその一心で魂こめて振ったバットだった。
 ファンの記憶にも残るサヨナラアーチは同時に記録にも残る本塁打となった。ルーキーイヤーの1986年(昭61)10月10日、ロッテ・荘勝雄投手から放った右前サヨナラ打を始まりに、この日までサヨナラ安打は20本目。サヨナラ本塁打は88年7月5日にロッテ・小川博投手から打って以来12本目だった。
 いずれも南海など3球団で活躍した野村克也捕手が記録したサヨナラ安打19本、サヨナラ本塁打11本を上回るプロ野球新記録となった。
 何度も上がったお立ち台だが、そのことを知らされると清原がこみ上げてくるような笑みを浮かべた。「誰もやったことがないことを達成できて…こういう記録は初めてなんでとても嬉しい」。
 さらにオマケまでついた。清原はサヨナラ2点弾で通算打点は1523打点に。雲の上の人だった巨人・長嶋茂雄三塁手の1522打点を抜いた。加えてシーズン10号本塁打で21年連続2ケタ本塁打も達成した。野村、巨人・王貞治一塁手と並ぶ偉業だったが、新人の年から連続して打ったのは清原が初めてだった。
 オリックスに移籍したこの年、清原がサヨナラの場面で打席に立ったのは6度。うち2回がサヨナラ本塁打。2回は四球を選んでおり、凡打は2回だけということを考えれば、選手生活の黄昏期になっても勝負強さが依然として健在だったことがうかがえる。
 「プロとしてプレーオフがあろうがなかろうが、同じようにプレーせんといかん」。巨人を石もて追われるようにして関西へ戻ってきた清原。それでもプロ野球選手としてのプライドは決して最後まで忘れていなかった。

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