日めくりプロ野球 8月

【8月27日】2008年(平20) 日本最速男・クルーン、移籍先で古巣からプロ野球初の記録

[ 2009年8月1日 06:00 ]

地元ニューヨークのメッツに入団も芽が出ず、日本に移ってからセットアッパーを経て抑えで大成したクルーン。日常の行動も突飛で“奇行”と見られることも
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 【巨人3-2横浜】ボールが先行しても、この日の守護神はよほどコンディションがいいらしく、慌てなかった。カウント0-3から立て続けにストライクを取り、最後は普通の投手のストレート並みの145キロのフォークボールで横浜・鈴木尚典外野手を空振り三振に仕留めた。
 天を仰ぎ、右腕を上げながら、いつもの神に感謝するポーズで自らの偉業を祝福した巨人マーク・クルーン投手。古巣横浜相手にシーズン30セーブ目をマーク。前年の07年ベイスターズでも31セーブを稼いだ、助っ人は2年連続で“大台”に乗せた。

 連続30セーブは史上9人目だが、2球団でこの記録を成し遂げたのは、クルーンが初めてだった。
 「カウント0-3から三振が奪えて嬉しかったよ。30セーブ?数は意識していない。シーズンが終わった時に人より多ければいいっていうぐらいさ」。
 自慢の速球は金城龍彦中堅手を捕邪飛に打ち取った159キロで、自身が持つ日本最速記録の162キロには届かなかったが、3者凡退、しかも最後を三振で締めたクルーンは上機嫌。大好物のコーラを飲みながら、身振り手振りを交えて、能弁に投球を振り返った。
 横浜とケンカ別れしての巨人入り。3年間の実績を武器に、複数年契約と高額年俸をベイスターズに要求したクルーンだが、感情のコントロールが難しく、走者を1人でも出すと、失点の確率が高くなり、右ひじや股関節にも爆弾を抱える守護神と球団は1年契約しか結ばない意向だった。
 ストッパーを探していた巨人が渡りに船とばかり、自由契約になったクルーンを獲得。1年契約ではあったが、2年間契約を巨人が延長できる条件が付いた事実上の複数年契約で、年俸3億円で入団。安定性という上では横浜時代同様、走者を出すとかなり不安だが、それでも移籍1年目に41セーブを記録。4年目にして初のセーブ王のタイトルを獲得した。
 米ニューヨークのブロンクスの生まれ。家庭の経済事情は良くなく、現在でも続いているかなりの偏食はこの頃から身についたものだった。ハンバーガー、パスタ、ピザに炭酸飲料水が大好きで、横浜時代にはハンバーガーと炭酸の禁止令が出されたが、中身の見えない水筒にコーラーを入れて水と称して飲んでいたこともあるほど。魚をほとんど食べる習慣がなかったクルーンは、低カロリーで良質のたんぱく質が採れる魚を食べるよう球団に勧められたところ、油で揚げたフィッシュバーガーのみを食べるといったありさま。ご飯を食べる時も牛丼ならかき込むが、白いご飯におかずという組み合わせは受け付けない。
 かつてクルーンは09年限りで現役を引退示唆したことがあったが、今の心境はどうなのだろう。貧しかった少年時代の目標だった野球選手になって大金を稼ぐという夢は達成した。けがもあって09年のクルーンのジャイアンツでの存在感はやや薄れつつある。クルーンが生まれた1973年にV9を達成して以来の3連覇に向かって走る巨人だが、その瞬間にクルーンがマウンドに立っていることができるだろうか。

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