日めくりプロ野球 8月

【8月24日】1984年(昭59) レロン・リー、顔も見るのもイヤな天敵から7年ぶり本塁打

[ 2009年8月1日 06:00 ]

オリックスのローズに抜かれるまで外国人選手最多安打記録を20年保持してきたリー。川崎球場の右翼スタンド後方に設けられた防球ネット「リーネット」は有名な話
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 【ロッテ6-3西武】本塁打を打っても平然とベースを1周する助っ人が、この日ばかりは小躍りしながらダイヤモンドを回った。
 ロッテの3番DH、レロン・リーは川崎球場での西武21回戦の7回、勝負を決定づける22号2点本塁打を左中間スタンドに放り込んだ。相手投手は永射保投手。左のサイドハンド投手は“左殺し”として数々の修羅場を抜けてきたが、真っ直ぐが甘く入り、いつもなら手玉に取って当然のリーに痛打を浴びてしまった。

 ベンチに戻るなり、リーは「ビックリ、ビックリ」と日本語で喜びを口にすると、オリオンズナインに大ウケ。グラウンドでめったに白い歯を見せない男が表情を緩め、ベンチに腰を下ろしても笑顔が絶えなかった。
 それもそのはず、リーにとって永射からの本塁打は77年8月13日に平和台で打って以来7年ぶり。ライオンズは当時まだクラウンライターを名乗っており、リーは西武になって初めて永射から痛快な一発をかっ飛ばした。
 本塁打が打てないならまだしも、ヒットさえこのサウスポーから打てなかった。84年だけを取ってみても、ここまで10打数1安打。「ナガイ?顔を見ただけで背筋が寒くなるよ。左投手でしかもサイドスローだろ。打てる気が全くしないんだ」とリー。その象徴的なシーンは同年7月4日の西武12回戦(西武)で見られた。
 西武はこの日、リリーフが専門の永射を広岡達朗監督は先発させるという“奇襲攻撃”をかけると、リーの表情は青ざめた。思案の挙句、大リーグ時代にスイッチヒッターだった経験を生かして、右打席で勝負した。10年近く遠ざかっていた右打席。そううまくは行かず、1打席目は三塁ファウルフライ。2打席目も当たり損ねの一ゴロと凡退。右打席作戦は完全に失敗に終わった。
 それも1回打ってしまえば、昔の笑い話。試行錯誤し悩み続けた日々がウソのようにリーのバットから快音が聞かれるようになった。翌25日、同じく西武戦で永射と対戦したリーは右翼線への二塁打。本塁打はうまくバットに乗せたというような当たりだったが、この二塁打は完璧にバットの芯でとらえた、強烈なライナーで飛んでいった。
 リーの強烈な一撃が続く4番落合博満三塁手の連日の29号弾を呼び込み、V3に一縷の望みを託していた西武の野望を完全に打ち砕いた。「今はナガイが大好き!技術的なことじゃなくて、気持ちで負けてたんだね」。苦手を克服したリーは4年ぶりの本塁打30本台(31本)をマーク。同じく4年ぶりのベストナインにも選ばれた。
 通算打率3割2分を誇る超優良助っ人をこれだけ苦しめた永射もリーを封じたことで、ワンポイントリリーフの地位を高めた先駆者と言っても過言ではなく、以後各球団はリリーフができるクセ球をもつ左腕投手の獲得に躍起となった。
 

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