日めくりプロ野球 8月

【8月14日】1990年(平2) 自作自演?佐々岡真司、ルーキー投手2人目の“珍事”

[ 2009年8月1日 06:00 ]

現役通算138勝153敗106セーブで引退した佐々岡。打者としては96安打を放った
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 【広島4-3中日】バットを振ったら当たった。そして飛んでいった、というのが真相だ。広島-中日19回戦(広島)の9回裏、1死。延長戦突入を覚悟した広島・山本浩二監督は、佐々岡真司投手に代打を送らず、そのまま打席に立たせた。
出塁するに越したことはないが、ベンチはほとんど期待していなかった。中日のマウンドは抑えの郭源治投手。8回からリリーフに立ち、長内孝左翼手、長嶋清幸中堅手、代打の小早川毅彦内野手の3人連続三振に仕留めた直後だった。

 郭が打たれるはずがないと確信して投げた初球、真ん中高めのストレート。佐々岡がバットを出すと振り遅れながら、快音を残し打球は右翼へ舞い上がった。風にも乗ってフラフラ飛ぶ白球に彦野勝右翼手が背走するも、なんと打球はそのままスタンドへ入ってしまった。
 新人・佐々岡のサヨナラ本塁打。キツネにつつままれたようなあっけない幕切れに郭は茫然自失で動くこともできない。一発のある左打者3人を三振に仕留めておきながら、まったく予想もなかった一打にベンチの星野仙一監督は、怒り心頭。近くにあったヘルメットを取り出し壁に叩きつけて粉々にしてしまった。佐々岡は07年に引退するまで打った本塁打は2本。そのうち1本が誰も想像しなかった、驚きの一打だった。
 投手のサヨナラ本塁打は史上17人目(18度目)。広島球団では初めてで、新人投手としては69年5月29日に東映・金田留広投手が後楽園での西鉄9回戦で、河原明投手から放って以来、21年ぶり2度目の快挙。セ・新人としては初めてのことだった。
 狙っていないわけでもなかった。広島2点リードで迎えた9回、守護神として登板した佐々岡。日本記録となる17試合連続セーブポイントをマークしたルーキー右腕は、2四死球とヒットで満塁のピンチを作ると、彦野に2点適時打を浴びて同点にされ、先輩の長冨浩志投手の8勝目を消してしまった。だからこそ「初球から甘い球が来たら打ってやろう。とにかく塁に出なきゃ」という気持ちでいっぱいだった。
 島根・浜田商高時代は「4番・投手」。それでもプロはの投手はそんな簡単ら打てるものではない。打った瞬間「入れ、入れって祈りながら走った。でも、入った後はすぐに長冨さんの顔が浮かんでしまって…」と佐々岡。同点打を打たれ、自らのバットでサヨナラ勝ち。盛り上げといて、最後に決める自作自演のような試合は、新人佐々岡にとって素直に喜べない7勝目だった。

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