日めくりプロ野球 8月

【8月13日】1992年(平4) ローテの谷間・金沢次男 痴漢撃退の次はマウントでお手柄

[ 2009年8月1日 06:00 ]

笑った時に銀歯が印象的で次男にちなんで大洋時代に付けられたあだ名が“銀次”。14年のプロ生活で60勝をマークした
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 【ヤクルト6-0中日】調子は良くなかった。それでも無失点で行けるところまで行った。ヤクルト投手陣にとってローテーションの谷間となったお盆の真っ只中の試合で、33歳の11年目・金沢次男投手が好投。野村克也監督の期待に応え、チームは球団史上最速の50勝を達成。14年ぶりの優勝への一里塚を通過した。

 「きょうは球が思ったところに行かないし苦労したね。内容もダメなのに0点で抑えた。うまくごまかせた感じかな」。金沢が言う通り、毎回走者を許した。ストレートは130キロ台。勝負球には使えず、スライダー中心に投球を組み立て要所を締めた。気がつけば5回を投げ切り、勝利投手の権利を得ていた。
 6回に中日・落合博満一塁手に二塁打を打たれて、野村監督が乱橋幸仁投手に交代を告げてお役御免。76球で6安打2四死球無失点。“谷間”の先発としては合格点。この好投が計5人による完封リレーを呼んだ。
 勝利投手はもちろん金沢。白星は2年ぶり。先発での勝ちとなると、日本ハム時代の89年5月26日のダイエー7回戦(後楽園)以来3年ぶりだった。「金沢に尽きると違うか?やっぱり野球はピッチャーや。先発が試合を作れば勝てる。これ鉄則だね」とノムさんも褒めたたえた。
 移籍3年目。戦力外通告の可能性もあった右腕がこの5日間で新聞に大きく名前が出るのは、2度目だった。2年ぶりの白星を挙げる前の8月9日、金沢は痴漢を撃退。22歳のOLの危機を救った。
 午前0時ごろ、横浜市保土ヶ谷区の自宅近くで減量を兼ねた日課の犬の散歩をしている際に、「何するの!助けて!」という悲鳴を耳にした。振り向くと、女性が背後から若い男に抱きつかれていた。「何してるんだ!」普段はおとなしい“銀次”も大声を上げた。男は驚いて逃走。金沢も追いかけると、思わぬ“援軍”に出会った。通りかかった会社員に「痴漢だ!捕まえてくれ」と協力を頼むと、会社員の男性も追跡。この男性が先回りするような形で金沢と挟み撃ち。400メートル追って捕まえた。
 グラウンドの外での思わぬお手柄に「マウンドでの姿を見ていると想像もつかんな。気は優しくて力持ちか。見て見ぬふりをする世の中でよくやった」とノムさんは満足そうだった。
 この球場の外での“功績”に野村監督は少なからず、金沢のツキを感じていたからこそ先発で使った。久しぶりの白星に気を良くした金沢はさらに2勝を加え、この年のヤクルト優勝に貢献。大洋、日本ハム時代には経験できなかった日本シリーズに出場。93年と合わせて7試合に登板。ロングリリーフで力を発揮した。

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